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そして、廉さんに会わないまま、
私はこの病院での、最後の夜を迎える。
「じゃあ、おやすみなさいAさん。よく休んでくださいね」
「ありがとうございました、おやすみなさい」
パタリと閉じられたドア、ひとりきりの部屋
暗闇の中で、小さく寝返りを打った
明日から、もう君と会えなくなってしまう。
私は知らない街へ行き、君はここに残る
改めてそう考えると、どうしようもなく悔しくて
どうして私たちは、関わることを許されていなかったんだろう。
「………廉さん」
苦しくなると、その名前を呼びたくなる
ぼやりとした声が、夜の闇に溶けていく
すると、
「呼んだ？俺のこと。」
いつかのように、小さな声がドアの方から聞こえてきて、
慌てて体を起こして見据えれば、
「廉さん、何してるんですか、」
「いや、俺から会いに行くって言うたやん。」
あの日と何も変わらない、
明るく寂しく微笑む、廉さんがいた。
「お医者さんに見つかったら、また、」
「大丈夫！俺もすぐ帰るし。」
するりと部屋に入ってきた彼と、向かい合う私
窓から差し込む月明かりが、彼の輪郭を照らす
「……Aさん、転院するんすよね。」
「知ってたんですか、」
「この前たまたま、聞こえちゃってさ。」
ふわりと君が微笑むだけで、どうしようもなく愛おしくなってしまう
私いつから、こんなに君のこと。
「明日でしょ？ここ出るの」
「明日、です」
絡まった視線が、そらすことを許さない
感じる、吐息
「……廉さん、私たちまた会えますか、」
「……さあ、どうやろね。」
震える声で質問をすれば、
君は今度は困ったように、口角を上げた
「なぁAさん」
「はい、」
「………俺も、しておきたいこと。あんねんけど」
俺も。そう言いながら君は、
手を繋ぎたい、と、私が君にお願いしたことを思い出させるかのように、
そっと、私の両手を握りしめた。
「………、なんですか、廉さん」
「うん、一回だけでいいんやけどさ、」
・
「一回だけ、抱きしめさせて。」
・
揺れる瞳、私が頷くよりも前に、
君は私の背中に、そっと優しく、
その腕を、回した。
「………さよなら、Aさん、」
「また、いつか会えたら。」
耳元で囁かれた、最後の言葉
溢れた涙は、
気がつかれないように、拭った。
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詩愛(プロフ) - zzzさん» こんばんは！お久しぶりです！また読んでいただけて嬉しいですありがとうございます^^ 少しずつですがお話をまだまだ書いていますので、楽しんでいただけたら幸いです。こちらこそいつもありがとうございます！ (2021年10月30日 23時) (
レス) id: 3902959af9 (このIDを非表示/違反報告)
zzz(プロフ) - 詩愛さん、こんばんは。大変ご無沙汰しておりましたが、詩愛さんの作品の香りを嗅ぎ付けてやって来てしまいました( ￣▽￣)まずは第一章お疲れさまでした。これから先の展開もドキドキさせていただきますね。いつもありがとう。 (2021年10月29日 19時) (レス) @page50 id: f02299600f (このIDを非表示/違反報告)
詩愛(プロフ) - ひだかくんさん» いつもありがとうございます！いろいろ気になることがたくさんありますよね……ぜひ今後の展開にも期待してくださいね。ありがとうございます、無理せず更新いたします！ (2021年8月4日 23時) (レス) id: 3902959af9 (このIDを非表示/違反報告)
ひだかくん(プロフ) - 高評価が一回しか押せないのがすごく悔しいです(ToT)廉君と主人公ちゃんがこれからどうなっていくのかなとか、きちんと思い出せるのかなとかめっちゃ気になります笑 作者さんも無理のないようにしてくださいね！ (2021年8月3日 23時) (レス) id: 10f3d7dc91 (このIDを非表示/違反報告)
詩愛(プロフ) - ミツキさん» ありがとうございます！まだまだ先は長いので、今後もどうぞよろしくお願いいたします！ (2021年7月26日 15時) (レス) id: 3902959af9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：詩愛
| 作成日時：2021年7月24日 16時
