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・
その日以降、廉さんは私の部屋に来なくなった。
私の治療の妨げになる
医者からそんなことを言われても、
その根拠がわからなければ納得できるはずもなくて。
ただぽっかりと空いた廉さんとの時間
彼と過ごす時間が、どれほど大切だったか
改めて、気がつかされた。
私から会いに行くことも、できたはず
だけどあの日、最後に見た廉さんの苦しそうな顔
それが何度も頭に浮かび、どこか怖くなってしまう自分もいて。
なかなか何も行動できず、ただ時間だけが過ぎていく
・
廉さんに会えなくなってから、数日経った
そんな気分にもなれなくて、ずっと散歩をしない日が続いていたけれど、
その日私は、久しぶりに病室の外に出ることにした
ついこの前まで、廉さんと歩いていた廊下にひとり
行くあてもなく、ただそこに漂う
廊下の窓から見下ろすと、ふたりで過ごした中庭が見えた
別に、廉さんに会えることを期待していたわけじゃなかった。
むしろ会えないだろうって、諦めていたのに。
突然、中庭を見下ろす私の鼻を、
懐かしい香りが、かすめていく
廊下の向こう側から視線を感じて、ふと振り返るとそこに、
「………廉さん、」
廉さんが、こちらを見つめて立っていた。
目が合った瞬間、どうしても嬉しさが込み上げる
ああ、良かった。
本当に心配だったけど、元気そう。
思わず頬を緩ませる私
それを見て廉さんも、ちょっとだけ嬉しそうに微笑んでくれた
そして、どちらからともなくお互いに向かって歩き始めた、私たち
長い廊下
少し早足になって、駆け寄るように近づいていく
だけどその時、
「Aさん？」
すぐ脇の部屋から、
よく私の部屋にやってくる看護師が、顔をのぞかせた
名前を呼ばれて、思わず足が止まる
反対側の廉さんも立ち止まり、看護師がその姿を見つけた
すると彼女は、焦ったように部屋を飛び出してきて
「あっ、Aさん！そういえばお母様たち来ますよ、今から」
なんて突然、私の腕を廉さんと逆方向に引っ張り、連れていこうとする
「……今日来るって、聞いてないです、」
「今さっき連絡があったんです。ほら、部屋戻りましょう？」
「でも、」
廉さんと、話したいのに。
腕をぐいぐい引っ張られながら、急いで君を振り返る
廊下の先、君はまだそこで
遠くなる私だけを、見つめていた。
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詩愛(プロフ) - zzzさん» こんばんは！お久しぶりです！また読んでいただけて嬉しいですありがとうございます^^ 少しずつですがお話をまだまだ書いていますので、楽しんでいただけたら幸いです。こちらこそいつもありがとうございます！ (2021年10月30日 23時) (
レス) id: 3902959af9 (このIDを非表示/違反報告)
zzz(プロフ) - 詩愛さん、こんばんは。大変ご無沙汰しておりましたが、詩愛さんの作品の香りを嗅ぎ付けてやって来てしまいました( ￣▽￣)まずは第一章お疲れさまでした。これから先の展開もドキドキさせていただきますね。いつもありがとう。 (2021年10月29日 19時) (レス) @page50 id: f02299600f (このIDを非表示/違反報告)
詩愛(プロフ) - ひだかくんさん» いつもありがとうございます！いろいろ気になることがたくさんありますよね……ぜひ今後の展開にも期待してくださいね。ありがとうございます、無理せず更新いたします！ (2021年8月4日 23時) (レス) id: 3902959af9 (このIDを非表示/違反報告)
ひだかくん(プロフ) - 高評価が一回しか押せないのがすごく悔しいです(ToT)廉君と主人公ちゃんがこれからどうなっていくのかなとか、きちんと思い出せるのかなとかめっちゃ気になります笑 作者さんも無理のないようにしてくださいね！ (2021年8月3日 23時) (レス) id: 10f3d7dc91 (このIDを非表示/違反報告)
詩愛(プロフ) - ミツキさん» ありがとうございます！まだまだ先は長いので、今後もどうぞよろしくお願いいたします！ (2021年7月26日 15時) (レス) id: 3902959af9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：詩愛
| 作成日時：2021年7月24日 16時
