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・
その日から、私は頻繁に病院の中を歩き回るようになる
そして何度も、窓の外を見ていたあの男の子の部屋にたどり着いた
なんだか足が勝手に向かっているみたいで、
ぼんやりと歩いていると必ず、その部屋の前に来ていた
だけど、その病室のドアが開いていたのは最初の1回だけで
何回行っても、再び彼の姿を見ることはできなかった。
・
そんなある日、
私は気まぐれで、病院の中庭に向かった
病院独特の匂いから解放され、外の空気を吸う
夏らしい緑の生い茂った庭の中
ゆっくりと足を進めて、そこにあるベンチに座りにいこうとすると、
「……あ、」
既にベンチにひとり、男の子が座っているのが見えた
私は病院を何回もまわってみて、
若い患者がほとんどいないことを知っていたから、
そこにいる人が、あの窓の部屋の彼だとすぐにわかる
………彼と、話したい。
突然、そんな感情が湧き出てきて、戸惑う私
何も面識がないのに、変だ。
しばらく、ベンチの少し手前でぐずぐず立ち尽くしていると、
彼が突然、ベンチから立ち上がり、
「………、」
目線を上げ、私をまっすぐに見つめてきた。
確実に、彼と目が合う瞬間
風が強く吹いて、彼の髪の毛をまた揺らす
涼しげな視線から、目が離せない
どこか心臓の奥の方が、嫌な音を立てている。
やがて、こちらに向かって歩いてくるその男の子
目が合ったまま、お互い目を逸らすことができないまま
どんどん縮まる、私と君の距離
近付く、近付く
ありえないくらい早くなる鼓動
なぜか熱くなる目頭
そして、頭にピキリと痛みが走った瞬間、
彼は私のところまでやってきて、
そのまま、私の横を、
通り過ぎていった。
ふわりとかすめた彼の香り
その柔らかい香りに、遠くなる彼の存在に、
わけもわからず涙が一筋、頬を伝う
待って。行かないで。
胸が苦しくて、頭も痛い
だけど、行かないでほしくて。
くるりと振り返ると、なぜか
彼も私を振り返り、そこに立ち止まっていた。
また、目が合う。
彼が少し、首を傾げる
「………俺に、なんか用すか。」
その声を、
ずっと前から、知っていたような気がして。
「………いいえ、何でもないです。」
震える声で答えれば、彼は不思議そうに小さく頭を下げ、
私を残し、中庭から出ていってしまった。
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詩愛(プロフ) - zzzさん» こんばんは！お久しぶりです！また読んでいただけて嬉しいですありがとうございます^^ 少しずつですがお話をまだまだ書いていますので、楽しんでいただけたら幸いです。こちらこそいつもありがとうございます！ (2021年10月30日 23時) (
レス) id: 3902959af9 (このIDを非表示/違反報告)
zzz(プロフ) - 詩愛さん、こんばんは。大変ご無沙汰しておりましたが、詩愛さんの作品の香りを嗅ぎ付けてやって来てしまいました( ￣▽￣)まずは第一章お疲れさまでした。これから先の展開もドキドキさせていただきますね。いつもありがとう。 (2021年10月29日 19時) (レス) @page50 id: f02299600f (このIDを非表示/違反報告)
詩愛(プロフ) - ひだかくんさん» いつもありがとうございます！いろいろ気になることがたくさんありますよね……ぜひ今後の展開にも期待してくださいね。ありがとうございます、無理せず更新いたします！ (2021年8月4日 23時) (レス) id: 3902959af9 (このIDを非表示/違反報告)
ひだかくん(プロフ) - 高評価が一回しか押せないのがすごく悔しいです(ToT)廉君と主人公ちゃんがこれからどうなっていくのかなとか、きちんと思い出せるのかなとかめっちゃ気になります笑 作者さんも無理のないようにしてくださいね！ (2021年8月3日 23時) (レス) id: 10f3d7dc91 (このIDを非表示/違反報告)
詩愛(プロフ) - ミツキさん» ありがとうございます！まだまだ先は長いので、今後もどうぞよろしくお願いいたします！ (2021年7月26日 15時) (レス) id: 3902959af9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：詩愛
| 作成日時：2021年7月24日 16時
