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たまたま卒業式が同じ日だった私たちは、
その前日も、ベンチで待ち合わせをした。
「明日、だね」
「………そだね。」
私の言葉に、海人は少し遠い目で返事をする
その眼差しは、いつもよりは少し自信がなさそうで
近付く新しい季節に、
やっぱり君も、不安を抱き始めたのだろうか。
流れていく時間
生暖かい風が、私たちの髪を揺らしていく
「……なんかやっぱ、いよいよ！ってなると、ちょっと寂しいね。」
「うん、海人そうなんじゃないかなって、思ってた」
「うわ、バレた？」
君は、また寂しそうにちょっとだけ口角を上げた
私たちはずっと、同じ学校にいたわけじゃない。
むしろ一度だって同じ校舎にいたことはなかったし、
この街、このひだまり以外に、私たちには共通点すらない。
ただ、近付いてくる春が
あの日、君が私にお守りをくれたあの季節が
また、巡って来てしまう。
その時間の流れが、少しばかり怖くて。
ふと見上げた君の目は、空の色を映している。
「……ねえA」
「なに？」
「もしも明日、世界がなくなったら、どうする？」
ひだまりの中、
突然そんなことを言うなんて、君は少し意地悪だった。
いつまでも、この幸せは続くんだよ。
私たちは、何度離れてもまた、出会うんだよ。
そう言ってくれた昨日の君が、
明日を見据え、怯える今日。
応えられなくて、そっと握りしめたその手
優しく私を見下ろす、海人の視線
春が過ぎても、となりには君がいるはずで。
別れなんて、絶対来ないって。
それがわかっているから。だからこそなぜか、
新しい世界が、不安でもある。
「明日も、会えるかな、俺ら。」
「会うんだよ、海人」
日が沈み、私にそんなことを聞く君
私はそれに、力強く言葉を返した
「会おうね、絶対だよ。」
まるで、いつかの君のように。
この言葉が、少しでも君をあたためますように。
ゆっくりと立ち上がった私たち
春が、始まりの季節が、
こんなにも切ないのは、一体どうしてだろう。
「………式が終わったら、1番に来る。」
「俺も、そうする。」
絡まる小指に、想いを込めて。
「じゃあ、また明日ね、A」
「うん、ありがとう海人」
君と出会った季節が、終わる。
そして新しい世界へと、
ふたりで、歩いていく。
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詩愛(プロフ) - かいとんさん» ありがとうございます！お読み頂けて光栄です！またよろしくお願いいたします^^ (2021年3月19日 15時) (
レス) id: 3902959af9 (このIDを非表示/違反報告)
かいとん - 完結おめでとうございます！凄く暖かくわくわくする物語でした。高橋担なので需要しかないお話でした……！これからも頑張ってください！ (2021年3月18日 23時) (レス) id: fb912074b2 (このIDを非表示/違反報告)
詩愛(プロフ) - ひまわりさん» お久しぶりです〜！お読み頂いてこちらこそありがとうございました！あまり出来に自信がないのですが、そう言って頂けて嬉しいですT_T 今後もどうぞよろしくお願いいたします！ありがとうございました！ (2021年3月12日 17時) (レス) id: 3902959af9 (このIDを非表示/違反報告)
ひまわり(プロフ) - 詩愛さんお久しぶりです！以前リクエストさせて頂いた歌を基に物語を書いてくださってありがとうございます！！とっても嬉しいです！また海人くんの物語楽しみにしています！ (2021年3月12日 1時) (レス) id: 1474a1813f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：詩愛
| 作成日時：2021年3月2日 14時
