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卒業式は、あまり泣けなかった。
結局最後まで、友達と言えるほどの人もいなかったから、それも当然で
たったひとり、学校の校門をくぐって電車に乗る
君が待つあのベンチは、
今日も、あたたかいのかな。
綺麗に晴れた空が、私に微笑みかけて
ゆっくりと目を細めると、視界が白色に染まる
なんだか少し、寂しさを感じた。
「海人、ただいま。」
「あ、おかえり、」
先にそこにいた君は、たくさん泣いた後みたいで、
真っ赤な目をして、私を見上げる
「………卒業、おめでとう。」
「Aも卒業、おめでとう。」
海人は、ぐすっと鼻をすすってから、無理して笑ってみせた
「俺さぁ、もうめちゃくちゃ泣いた、」
「やっぱり、寂しいよね」
「そうなんだよね。なんだかんだ高校生楽しかったなぁって。」
眩しそうに太陽を見上げるその瞳の中には、
たしかにたくさんの思い出が見える
私には、そういう場所はなかったけれど、
海人が泣いているのを見ると、私もなんだか泣けてきてしまう
「でも俺が、高校で一番嬉しかったのは、やっぱ、」
「こうやってまた、Aに会えたことかな。」
君はそう言って、優しく私を見下ろした
たくさんの綺麗な時間の中で、
君が私とのことを一番だと、そう言ってくれたことが嬉しくて。
「私も、海人に会えて良かった。」
そう言って見つめれば、君の瞳が熱を持って、
ぐっと近付く、私たちの距離。
そうしてかすかに重なった唇は、
お互いに少し、震えていた。
「………海人と、これからも一緒に居られますように。」
「………まただね、A、」
ゆっくりと、緩むその口角
「俺も今、おんなじこと考えてた。」
ねえ海人、
あの日、私にあたたかい気持ちを教えてくれて、ありがとう。
ずっと、忘れないでいてくれて、ありがとう。
繋いだ手は、握りしめて、離さないで。
もし突然良くないことが起こっても、
また、この運命を繰り返そう。
あの日、芽を出した小さな花は、
長い時間を経て、
こんなにも大きく、綺麗に咲いたよ。
どちらからともなく繋いだ手
微笑み合って、涙を流しながら交わる視線
私の手首につけられた新しいひまわりのブレスレット
君はそれを愛おしそうに、
そのあたたかく優しい手で、
そっと、握りしめた。
君とひまわりと私 終
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詩愛(プロフ) - かいとんさん» ありがとうございます！お読み頂けて光栄です！またよろしくお願いいたします^^ (2021年3月19日 15時) (
レス) id: 3902959af9 (このIDを非表示/違反報告)
かいとん - 完結おめでとうございます！凄く暖かくわくわくする物語でした。高橋担なので需要しかないお話でした……！これからも頑張ってください！ (2021年3月18日 23時) (レス) id: fb912074b2 (このIDを非表示/違反報告)
詩愛(プロフ) - ひまわりさん» お久しぶりです〜！お読み頂いてこちらこそありがとうございました！あまり出来に自信がないのですが、そう言って頂けて嬉しいですT_T 今後もどうぞよろしくお願いいたします！ありがとうございました！ (2021年3月12日 17時) (レス) id: 3902959af9 (このIDを非表示/違反報告)
ひまわり(プロフ) - 詩愛さんお久しぶりです！以前リクエストさせて頂いた歌を基に物語を書いてくださってありがとうございます！！とっても嬉しいです！また海人くんの物語楽しみにしています！ (2021年3月12日 1時) (レス) id: 1474a1813f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：詩愛
| 作成日時：2021年3月2日 14時
