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私たちはお腹が甘ったるくなるまで、お菓子を食べ歩いた
「結構食べたね」
イベント会場に設置されているベンチに座ると、神宮寺くんがお腹をぽんぽんと叩く
「ほんとに、もう一生分食べたかも」
「そ？じゃあもうAちゃんは一生チョコ食べなくても生きていけるね」
「えっ、そういうことじゃないよ」
「あはは！！わかってるよ、ごめんごめん笑」
「もう、」
君は私の横で、楽しそうに肩を揺らして笑う
こうやって、君と2人きりで笑い合えること。
それが本当に私にとっては幸せだった。
だけど、時間というのは残酷なもので、
「………そろそろ帰る？」
傾き始めた日差しの中で、神宮寺くんが呟く
「……うーん、そう、だね」
曖昧に頷いた私に、君は少しだけ笑って、
「………俺だって、まだ2人でいたいよ、」
そんなこと言うからほら、また胸が高鳴るんだよ。
「だけどAちゃん、門限あるんでしょ？」
「……誰に聞いたの？」
その話をした記憶は、ないけど。
「この前友達と話してるの、聞こえちゃった」
ふふっと笑った神宮寺くんは、ベンチから立ち上がって
「もうそろそろ時間じゃない？送るから帰ろうよ」
そう言って、私を見下ろす
「……うん、」
やっと頷いて立ち上がる私を、君は優しく見ていた。
・
帰りの電車、2人で乗り込むとひとつだけ席が空いていた
「座る？」
先にそう言ったのは、君。
「え、いいの？」
「いいよ。座って」
私をスマートに座らせると、神宮寺くんは私の正面に立った
電車にゆられながら、小声で言葉を交わす私たち
なんとなく、くすぐったい。
「……あ、そうだ」
会話の途中で急に、君に聴きたかったことを思い出す
「なに、どした？」
優しく聴き返す、その雰囲気も好き
「神宮寺くんに、聴きたいことがあって…」
「うん」
「どうして今日、私を誘ってくれたの？」
ただ素直に不思議に思って聴いた質問に、
君の瞳が揺れた
「………そんなの、Aちゃんがチョコ好きだから、」
「あ、そういう、」
「っていうのもある、けど、」
急に重なる声に、驚いて君を見上げると、
「………ねえ、気付いてよ」
窓から差し込む夕日に照らされて、
君が私を、
まっすぐに見下ろしていた。
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作者名：詩愛
| 作成日時：2020年2月19日 15時
