蒼く、染まれ Y.J（２） (ページ44)

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ゆっくりと、分け合う体温

鼻をくすぐる、大好きな君の香り

キスなんて、今まで一度もしたことがなかった

だけどそんな私にもわかるくらい、

勇太のキスは上手で、甘かった。

もしかして、他の子にもキス、したことあるの？

ちらりとそんなことを思ってしまうほど。

長かった一瞬が終わって、

君の顔がゆっくりと離れる

自分でもわかるくらい、真っ赤な私の顔を見て、勇太は嬉しそうに笑った

「………ごめん、やっぱりもっといじめたくなっちゃった」

「……どういう、」

私の言葉を待たずに、勇太の唇がまた触れる

さっきよりも、もっと甘くて、優しいキス

さっきから感じていた今日の君の甘い雰囲気は、これか。なんて、

ふわふわした頭でなんとか理性を保つ

長く、何回もついばむように続くそれに、

体の力が、抜かれていってしまう

だけど勇太はそんなことに構わずに、甘く、優しく、繰り返した

ついに力が入らなくなって、私の背中が、壁につく

そこでやっと、君は私を解放した

「…………勇太、」

「ちょっと苦しかった？ごめんね」

息が荒い私とは違って、君は私に向かって優しく微笑む

せっかく幸せな気持ちなのに、

ああ、やっぱりこういうこと慣れてるんだ。と、少しだけ悲しくなった

「………秘密の時間、最終回に、」

勇太はささやきながら、私の手をぎゅっと握って、

「最高の青春、しちゃったね、」

そうやっていたずらっぽく笑うから、

私はまた、君のその魅力に堕ちていく

勇太が、好き。

言えなかったけど、気持ちを込めて見上げた私の目を、まっすぐに見つめる君

そしてまるで、わかってるよ。というように、

私のほっぺを、するりと撫でた

すると突然、廊下から足音が聞こえてくる

慌てて2人で椅子から飛び降りると、ガラリと教室のドアが開いて、

「あ、2人まだいたの？」

と、クラスの女の子が忘れ物をとりに来た

「そう、最後の雑用、頼まれちゃってさ」

「マジ！大変じゃん！」

勇太は落ち着いた口調で、いつも通りに会話をする

その子と話しながら、どきどきしたままの私をちらりと見た君は、

また、いたずらに笑った。