蒼く、染まれ Y.J（２） (ページ21)

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なんて。「風邪」という君の一言で、そんな頃を思い出した。

今となっては、遠い記憶でしか、ないけど。

思い出したところで、何も変わることはないのにね。

私はじっと見つめていたケータイを置いて、ゆっくりと立ち上がった

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その日から2日間、神宮寺くんからの連絡がなかった

いつもならそろそろメッセージの来るタイミングなのに。って、

結局私、君を待ってるんだろうね。

「………」

ケータイの画面とにらめっこ

そんなことをしても、やっぱり連絡はこない

どうしたんだろう。何かあったのかな。

最初はただうずうずと待っていただけなのに、いつのまにか心配している自分に気がつく

私たちの間には、何も約束がないっていうのに、それなのに

会いたい。

そんな風に思う私は、もうすっかり堕ちているのかもしれないね

「元気？」

気がつけばそんな短いメッセージを、君に送ってしまっていた

本当は素直に、会いたいよって送りたかったのに。

私はまだ、素直になれない

そのメッセージを送っても、君から返事は来なかった

何回目かわからないくらい確認したケータイ

やっと太陽が沈み始めた頃、君の名前が画面に浮かび上がる

「ごめん、連絡してなくて」

たったそれだけ。それだけのメッセージなのに、心がうずく

「元気だけど、どした？」

神宮寺くんは、きっと私の会いたい気持ちをなんとなくわかっているはず

だけどそうやって、私に言わせようとする

「今どこ？」

そしてそんな君に、微妙な距離感で会いに行こうと居場所を聞く私は、

やっぱり素直じゃない。

「まだスタジオ借りて練習中」

君の返事

もうそろそろ夜ご飯の時間なのに、

まだ、やってるんだ、

「お腹、空いてない？」

遠回しに、遠回しに、君に会う口実を探す

「空いてるけど、なんで？」

そういう君も、

もしかして私に会いたいのかな。

「差し入れ持って行くから、場所教えて」

少しばかり強引な私

断ってくれれば、私もそんな自分を止められたのに、

君はまるで、止めなくてもいいよ。とでも言うように、

スタジオの場所を送ってきた

「今から行くね」

寒い冬の夜、

小さく返事を送った私は、

君に会いに、家を出た。