9 ページ9
・
「………それで、神宮寺くんは、」
君の表情を無視して話を続ける私
勇太、なんて。今更呼べないよ。
「………今、何を勉強してるの？」
大学じゃないにしたって、専門学校かなと思って、
なんとか振りしぼった声で、聞いてみる
だけど、その答えは、考えもしないものだった。
「…………ん〜まあ、勉強はしてるんだけどね。どこの学校にも行ってないんだ」
君は突然、そんなことを言い出す
「え、っと、」
意外だった。
もちろん高校を卒業してからの進路なんていろいろある
だけどなんとなく、神宮寺くんはどこかに進学したんだと思っていた
「びっくりした？」
そう言って手を口元に持っていくと、面白そうにくっくっと笑う君
「………え、うん、なんかちょっと。予想外だった」
「だよね。よく言われる」
君はキラキラと目を輝かせたまま、少し前に身を乗り出す
距離が、近くなった。
「実は俺、今すごい大事な時期でさ」
「大事な、時期、」
「そう。なんだか予想つく？」
その目は一見楽しそうに見えるけど、
奥の奥の方で、
悲しそうな光が、ちらついていた
「…………まさか、とは思うんだけど、」
「うんいいよ。言ってみて？」
神宮寺くんはうなずく
「……………結婚するの？」
その瞬間、神宮寺くんの口が、ぱかんと開く
「え？」
慌てる私を見て、突然笑い出した神宮寺くん
「あはは！はは！あー、A、相変わらず面白いね」
「だって大事な時期って言うから……」
「そういうとこ、変わってなくて安心するよ」
君も、あの頃の記憶を、思い出しているのだろうか。
「よく考えて？結婚するんだったらこんな風に女の子とご飯なんて行かないでしょ」
「あ……そっか」
「しっかりしろって笑」
結婚じゃなくて、よかった。なんて、
一瞬だけ思っちゃったことは、内緒。
「もー、言っちゃうけど、」
神宮寺くんは微笑んだまま話し出す
「俺、今年受験するんだよね」
どうして、なんて。簡単に聞けなかった。
神宮寺くんはきっと、たくさん考えて何かを選択したんだ。直感でそう思ったから。
「またびっくりさせちゃったかな」
君はいつも、初めて会ったあの日から、
ずっとその、魅力的な笑顔を私に向けてくれていた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 522人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「King&Prince」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
詩愛(プロフ) - _to_shoさん» いつもありがとうございます！切なく共感していただけて本当に嬉しいです^^ 続きもお楽しみに！ (2020年2月15日 15時) (
レス) id: 00cf9e51b5 (このIDを非表示/違反報告)
_to_sho(プロフ) - 選ばなかった未来が、少し気になるの、、、切ないです泣。共感100パーセントです泣 (2020年2月9日 2時) (レス) id: 92c3943f3d (このIDを非表示/違反報告)
詩愛(プロフ) - _to_shoさん» 楽しんでいただけて何よりです！がんばって更新してまいりますのでよろしくお願いします！！ (2020年1月31日 19時) (レス) id: 00cf9e51b5 (このIDを非表示/違反報告)
_to_sho(プロフ) - 俺にちょっと時間ちょうだい、のとこでキュンキュンマックスです！！長いお話逆にありがとうございます！！ずっとドキドキできるとか最高です！よろしくお願いします！！ (2020年1月30日 21時) (レス) id: 92c3943f3d (このIDを非表示/違反報告)
詩愛(プロフ) - _to_shoさん» 嬉しいです〜！ありがとうございます！ (2020年1月27日 19時) (レス) id: 00cf9e51b5 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：詩愛
| 作成日時：2020年1月13日 13時
