いとほし、かなし。【 KZ 】

いとほし、かなし。 ページ4

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古典が得意なクラスメイトの話により、古典が分かるようになるどころか、益々分からない物へと進化していった。
だが、1つだけ分かったことがある。否、再確認出来たと言った方が正しいか。
俺、やっぱり古典嫌い。

「何をそんなに悩んでいるの？ そんなに難しいことでもないだろ？」
そう、さらりと頭良い自慢をしてきた彼奴に隠しきれない程の苛立ちを覚えながらも、世界一寛容な漢である俺は其奴を許してやった。流石俺。


ところで、寛容な俺には疑問に思ったことが1つある。
『いとほし』の意味だ。
『いとほし』の意味は彼奴曰く『気の毒』『可愛い』『辛い』らしいが、1つの単語に『気の毒』と『可愛い』という真反対の意味があってもいいものなのだろうか。

という事で其奴に質問してみた。正直、質問に答えられても理解出来る気がしないのだが。

だが、そんな俺の考えも杞憂に終わった。
其奴は暫く考え込んで、分からないと答えたのだ。
なんでだよ。古典のプロフェッショナルなんだからそれくらい知っとけよ。

「ごめんね、若武君」
そう思っていたのが口に出ていたのか、其奴は顔を曇らせて謝った。そして、続けてこう言った。


「『いとほし』のことはよく分からないけど、『かなし』に『切ない』と『可愛い』っていう反対の意味がある理由については、この前本で読んだよ」

そう言う其奴の話を、やっぱり寛容な俺は聞いてあげることにした。




　

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