・弐：加州清光 ページ12
加州side
昨日主と話し合ってなんだかんだで次は俺になった
主からどうなったか聞いたけど一応紙に書くとはいえ返事をするあたり結構律儀だと思う
で、今扉の前でうろうろしてるんだよね‥‥
ぶっちゃけ話す内容が思いつかなくて
かれこれ一時間くらいはずっとそうしてる
まだ唸っていると下の隙間から紙が出てきた
〈ずっとそうしてるくらいなら座ったらどうだ〉
扉越しなのにこっちの様子が向こうにバレていることに若干怖いと思いつつ、一旦座ることにした
加「‥‥‥」
『‥‥‥』
流れ続ける沈黙に気まずくなってきて少し焦り始めたとき、また紙が出てきた
〈無理に話そうとしなくていい。実際私はまだまだ審神者や貴様ら刀剣男士が怖いが、そうやって頑張ってくれるのは多少嬉しい気持ちもある。肩に力を入れなくても大丈夫だ〉
どこか優しさを感じ取れる言葉に焦っていた心がだんだん落ち着いていく
初対面の時はそんな雰囲気すら感じさせない態度だったけど本当はもっと優しいのかもね
加「ねぇ…」
俺は思い切って悩んでいたことを相談してみることにした
加「俺ってさ、愛されてると思う‥？」
たまに考えてしまうときがある
自分はちゃんと愛されているのか、また捨てられてしまうのか
そんなどうしようもない不安に駆られるときが
暫く間が空いて返答が返ってきた
〈正直なところ、貴様がどう考えていてそんなことを言い出したのかわからない。でも、出会ってから短くても今心から笑えて幸せだと思えるなら、愛されているんじゃないか？少なくとも、初めて顔合わせをしたときに私はそのように見えたし、思った〉
そっかぁ、俺ちゃんと愛されているんだ
この言葉は結局、客観的に見た上でのものでしかないけど
想像していたよりはっきりとしている答えに憑き物が落ちていく感じがした
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風凪side
“愛されているのか”
そう聞かれて思ったこと、感じたことを素直に書いたけど、それが正しい答えだったのかわからない
実際のところ、私はまともな本丸を知らない
目にしてきたのは全てブラック本丸だった
仕事上の都合もあるだろうがな
だからなのか、この場所には正直戸惑った
暖かなその空気のせいなのか
私の心の奥がムズムズしてどうしようもないほどに落ちつかなくなったんだ
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作者名：死那月アザミ | 作成日時：2024年2月4日 9時
