愛が如何とか哀だとか (ページ1)

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うっとり。S＝A ページ1

「うん……好き……ぁぁ……」
うっとり。

ぁ、ぁ、と小さく声が漏れた。口から垂れている涎と乱れた衣類なんて気にしないでその目は私に向いていた。

彼の首元に添えた手に力をこめる、込める、籠める。息苦しさをこれでもかというほどに求める彼から手を離した。

ヒューヒューと小枝の様に細く呼吸を繰り返す彼は私の服の袖を掴んで言った。

「やめないでよ、もっと……」

私の手を掴みまた首元に手を添えようとする彼から手を離す。キョトン。首を傾げる彼を見やる。なんでなんで、頂戴。早く頂戴。

催促(さいそく)する喉に再び手を添える。そして指を籠める。グッと入り込んでいく指と熱烈な視線を感じ知らないとでも言うように彼の唇に自分のを合わせた。どちらのものとも解らない涎に濡れる。やっと彼から手を離す。

「あは、ははは……凄くイイ……ね？」
愉悦、愉悦。愉しそうに弧を描く唇を指でなぞった。

彼は云った。

「こんなオレを受け止めてくれてありがとう」
私が言った。

『骨の髄まで愛してるからね、君がどうあったって君は君でしょう？』

瞳さえも三日月に歪めた彼の背中に手を回し引き寄せる。そうすると彼は嬉しそうにうふふふとはに噛むのだ。そしてまた、鬱鳥(うっとり)そんな目です私を見つめる。

今度は私が喰われる晩らしい。召し上がれ、とでも言うように彼に体を預けた。