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奇跡の人(朽木白哉).1 ページ1





冬に見た桜は…


「礼には及ばぬ。」


"美しい"なんて安い言葉では表現出来ないほど
美しかった。
冬に桜なんて地球が生まれ変わらない限り
絶対に起こりえないこと。

そんな奇跡を散らし、私の周りを包んでくれた。

その奇跡の持ち主は凛とした姿勢で、押しつぶされそうな程の存在感を放っていた。

遠のく意識の中、私は思った。

あぁ…奇跡を扱う人は奇跡で包まれてる人なんだって。

そんな奇跡のような人に手を包まれた。
とても冷たい…ということは、
"貴方"は…


「………!!」


自分の意思とは反して目が開いた。
当たりはとても暗くて、まだ起床とは呼べない時間だ。


「夢……?」


寝起きのぼやける視界の中、呟いた言葉は
思わぬ返事を貰う。


「悪い夢でも見たのか、A…」


びっくりして横を見れば、少し眉毛をさげてる
先程夢に出てきた"奇跡の人"


「白哉さん…いいえ、大丈夫です。ご心配お掛けしてすみません。」

「謝罪など要らぬ。それと…直ぐに謝罪をするな」


繋いでいた手が解かれ私の頬に当たる。
それは夢の中で繋がれた手と同じ大きさ、同じ冷たさで。


「心配くらいさせぬか。」

「…相変わらずお優しいですね。」


白哉さん。知っていますか?
手が冷たい人は心が暖かいって。

私は冷たい手に自分の手を重ねた。


「実は…白哉さんと出会った頃の夢を見ていたのです。」

「"あの日"のことか。」

「はい。"あの日"が来るまで私はどうしようもない人生を歩んでいました。」


親に捨てられ1人でさまよっていた所を
"奇跡の人"に助けられ、"奇跡の光景"を見させてもらい、"奇跡の日常"を私に贈ってくれた。

私は彼の瞳を見つめた。
凛とした目の奥の"優しさ"を捉える。

白哉さん…ありがとう。私に"優しさ"と"愛しさ"と"奇跡"を教えてくれて。

そんな気持ちを頬に触れる手に伝わるように擦り寄せる。

でも、そんなものでは私の気持ちは通じない。

だから言葉に出してみた。


「白哉さん…」

「なんだ?」

「私と出逢ってくれて…沢山の素敵なことを教えてくれて…ありがとうございます。」


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作者名: | 作成日時:2020年1月12日 15時

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