口癖 -3- (ページ33)

今日:1 hit、昨日:25 hit、合計:51,548 hit

125 / 無意識的な傷ページ33

side N

夕方、お散歩終わり。

手繋ごうか、なんて言えば、恥ずかしいよ、って言われた。

そりゃそうだ、もう戻ってるんだもん。

売店に寄ってから、

もうそろそろやってくる2人を病室で待つ。

「さっきさ、」

「ん？」

「すっげぇ臭い香水つけてる人居たよね」

「居た、思ってた俺も」

「ふふ、臭かったねあれは」

売店付近で感じたそれを伝えると

やっぱり共感してくれた。

まじで、強烈だったんだもん。

「ここ病院なのによく付けてくるよね」

「ね、TPOってもんがあるよね」

「や、でもあれは外でも出くわしたくない、僕」

「ふふっ、それもそうね、」

「多いよねぇ、きっつい香水好きな女の─────……」

止まってしまった。

ダメだったかな、と思って止まってしまった。

でもたぶん、止まるほうがダメだった。

これもさっきと同じだ。

”優しさのつもりの思いやり” から生まれる特別扱い。

「ふふ、大丈夫だよ」

あぁ、なんでだろう。

うまくいかない。

特別扱いなんてしたくなくて、するつもりもないのに。