115 / そういえばね、 ページ23
side N
「……うま、」
「でしょ？」
「え、めっちゃうまい」
「ほら見ろー」
「自分の好きなもの見つけるの上手いよねほんと」
「ふふ、まぁね」
「期間限定ってことは元は何味なの？」
「え、知らない」
「知らないのかよ、ふふ」
男5人でクッキーサンド食べてるなんて
傍から見たらちょっと異様だけど。
まぁ、なんかちょっと和むからいいや。
でも、ぱさぱさで口が乾く。
喉乾いちゃうな、これ。
「喉乾かない？これ」
「今おいしいって言ったじゃん」
「や、そうだけどそれとこれは別じゃん」
「そういえばねー、ポットのお湯切れてたかも」
「うそじゃん、このタイミングで？」
「しかも言うの遅いし…」
今はまだホットの時期だよ、まだギリギリ。
まぁ別にいいけどさ。
彼のこういうところは慣れてる。
みんな、まぁいいか、なんて思って
結局誰もお湯湧かしに立たないんだもん。
彼が居ると、どうしても彼のペースになるんだよ。
「そういえばねー、」
「今度はなに、ポット壊れてるとか言い出す？」
「ふふっ、言わないしそうだとしてもそれ僕のせいじゃないじゃん、ふふ」
「ふふ、じゃあ何よ」
「僕性別ないよって話」
ぱさ、と
彼が食べるクッキーサンドの袋が掠れた音だけが響いた。
「……………え？」
綺麗に、合わせたように重なる。
「だってひみつ聞きに来たんでしょ？」
「話すの一瞬忘れてたから、そういえばって」
食べ終えたそれの袋を折り畳み、ゴミ箱に捨てて
丁寧に手と口を拭く。
「だからって……そんなこと、簡単に…、」
「僕は自己紹介するだけって言ったじゃん」
今なら俺らが緊張してないってわかるからって
いくら何でも貴方、それはないじゃん。
気遣いにも、程があるでしょう。
ふふ、と微笑み
綺麗に拭かれた手はまた、ニットストールへ戻った。
116 / 知らない者同士→←114 / わかってるよ、それくらい
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 343人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「嵐」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ヲ伽
| 作成日時：2022年5月22日 18時
