122 / 二度目 ページ30
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洗面所から顔を覗かせて、
念のため、誰も居ないことを確認する。
入浴後、ちょっと暑くて上の服は着たくない。
誰も居ないしいいや。
5月の初日でも、お風呂あがりは少し暑い。
やだな、夏が怖くなる。
今で暑いなんて、恐怖だもん。
「外……は、覗くのやめとこ、」
さすがにね。
この姿で撮られちゃったら、ちょっとやばい。
「今日は何を考えようかな…、」
ベッドに腰を掛け、少し淀んだ夜空を眺めながら
頭を働かせる。
でも、わざわざそんなことを考えなくても
脳内に浮かんでくるのは、あの言葉。
” 俺、あの人のこと ”
彼は、そう呟いた。
空を眺めながら。
とても優しく微笑んで、
とても苦しそうに。
まるで昨日のことのように、
空や空気、温度、彼の表情すべてがすぐ傍にあるみたい。
それくらい、ずっと残ってる。
「………どうしたら、貴方のためになるかな」
貴方を突き放したいわけじゃない。
僕は、貴方を救いたい。
でも、すべてを伝えることが正義とは限らない。
目を瞑れば、
何度も蘇ってくる、貴方と話したその時。
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″ 変って思ってるでしょ、″
″ なんかもう、無理でさ ″
″ そういうのいらないって、″
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蘇ってくる貴方はいつも苦しそうで。
でも一瞬、一瞬だけ
表情を変えたときがあった。
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″ 僕も変だからだよ ″
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僕が自分のことを初めて ″変″ だと言ったときだった。
悩んでる貴方のためならと思えたから。
そのとき貴方は一瞬、羨ましそうな顔をした。
「ニノ、」
「貴方が僕のひみつを聞くのは」
「これで二度目のはずなんだよ」
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作者名：ヲ伽
| 作成日時：2022年5月22日 18時
