口癖 -3- (ページ28)

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120 / 噛み締めるページ28

side A

” これからゆっくり話そう ”

誰もがそう言った。

彼自身も。

一日で話して終えられることじゃないし

まず、終わりがある話し合いじゃない。

それにきっと、必要なものは言葉だけじゃない。

「聞いたことあった？………インターセックス」

「ううん、まったく」

「まずその存在を知らなかった」

「そう、そこだね」

自然とリーダーの家に集まり、

静かに酒を交わす。

普段は勢いのいい人も、今日ばかりはスローペース。

記憶喪失になったときや、

彼の面会謝絶を阻止したとき。

今まで様々な問題でこういうシーンはあったけれど

今日はどこか違う。

焦るでもなく、哀しむでもなく、不安がるでもなく

ただ静かに、噛み締める。

夜空に浮かぶのは、三日月でも満月でもない中途半端な月。

「俺らがさ、」

「ん？」

ふと、ぽつり

翔ちゃんが零し始める。

「俺らが潤の立場だったら、初めて自分がそうだってわかったとき」

「そのときの反応って、面会謝絶したときの潤の反応ってことだよね」

誰もがわかっていたことを、敢えて言葉にした。

そんな感じ。