972 / 記憶を知ることの残酷さ ページ37
side S
「………………やばい、冷たい……」
和也「……冷たい？」
「身体が……異常に、」
そして、身体が異常に冷たい。
俺まで寒くなりそうなほど冷えきってる。
3人が用意してくれてた毛布じゃ足りなくて
上着やら追加の毛布やらを何重にもして彼にかけて、やっと普段の体温に戻るレベルで。
何かが違う。
いつものこの子の恐怖と、
今までの雷のときの怖がり方と全然違う。
バッ、と急に上げられた彼の瞳には
何も映っていなくて。
潤「………………………っ、おかあさん……っ！！」
瞬きすらせず
はっきりと口にした。
「潤、潤、こっち見て」
潤「やだっ、あけて…っ！ごめんなさいっ、ごめんなさい…っ！」
「潤っ、」
潤「ゆるしてっ、ごめんなさい…っ！
…………………………すてないで……っ！！」
「じゅんっ！」
自分の声が震えてるのがわかった。
絶望した表情で、
何も映さない瞳で
この子の過去に入り込んでしまったようで。
こんなに必死に縋るこの子を
捨てた人間が居るんだ。
「潤、潤は翔くんを見てるんだよ。お母さん見てるんじゃないよ」
潤「………っめ、……さい……っ」
「潤、潤は翔くんと居るの。お母さんここには居ないんだよ」
瞬きすら、せず
静かに、涙を流して
やっと揺れた瞳に、
少しずつ俺が映る。
「潤。潤、」
潤「………………………しょおく…っ、たすけて………っっ、」
「…………っ、潤、」
ずっと、
俺らはずっと不思議だった。
家から放り出されて、
昼頃病院に来たと先生が言っていたこと。
てっきり朝に放り出されて昼に病院にたどり着いたんだと思ってたから
何故近所の人は助けなかったのか。
放り出された瞬間に、何故この子を助けてあげなかったのか。
和也「…………………………数十年に一度の豪雨の年だ……」
検索画面を見ながら、ニノが呟く。
1月、真冬の月。
豪雨と雷鳴。
冷えきる夜中。
放り出されたこの子は、
一晩中、家の前で母親を待ってたんだ。
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櫻宮 - とうとう出てしまった分離不安。大丈夫かな？と思いましたがとりあえずこの子の笑顔が見れて一安心笑笑...そっかずっと集中豪雨の中母親のこと待ってたんだね。寒くて凍えそうな夜。きっと心まで冷えてたんだろうな。って思いました (2021年8月4日 9時) (
レス) id: 59853f2783 (このIDを非表示/違反報告)
ヲ伽 -otogi-(プロフ) - 櫻宮さん» 皆様、カップルさんのことを『強くて脆い』って言ってくださるのうれしいです…ありがとうございます（ ; ; ） (2021年8月4日 1時) (レス) id: a5fdc137e0 (このIDを非表示/違反報告)
つかさ(プロフ) - ヲ伽 -otogi-さん» いえいえ 名前違うとわからんよね笑 (2021年8月1日 7時) (レス) id: 4e0d2c6273 (このIDを非表示/違反報告)
ヲ伽 -otogi-(プロフ) - つかささん» あれ！？riroさんでしたか…！めちゃくちゃタメ口すみません（ ; ; ）インスタでもこっちでもありがとうございます´`*！ (2021年7月31日 22時) (レス) id: a5fdc137e0 (このIDを非表示/違反報告)
つかさ(プロフ) - ヲ伽 -otogi-さん» 全然いいよ！ riroと申します笑 てかまじで久々のこっちのコメント笑 (2021年7月31日 19時) (レス) id: 4e0d2c6273 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ヲ伽 -otogi-
| 作成日時：2021年6月30日 19時
