beg.50 / 同情か愛か −A ページ7
「仕事…大丈夫？」
「ん、休めないから、さ」
あの後落ち着いた松潤に
今日の仕事大丈夫かどうか聞いたら
困ったような顔をしてそう言った。
「着替えの時は、絶対俺と2人にしてもらうように頼んどくから」
「ん、ごめんね」
申し訳なくて居た堪れないのか
弱々しく謝って
スッと立って、どこかへ行こうと背を向ける彼を
グイッと引っ張って、きゅ、と前から抱き締める。
「…何かあったら、すぐに言いなね。
鏡が怖かったら、楽屋なんて入らなくていい。
俺と違うとこ居よう。
着替えで傷を見るのが嫌なら、
下に脱がなくてもいいようなやつ着れば大丈夫。
俺がスタッフに押し通す。
大丈夫。俺が居るよ」
ジブンに振り回されて
弱々しく疲れ果てる彼を
何としてでも守りたいと思った。
そんなことしたら “ 潤ちゃん ” が、とか
そんな複雑なことは放っておいて
壊れてしまいそうな彼を
ずっと腕の中に置いていたいと思うくらいに。
「ふふ、ありがと…」
今日初めての彼の笑い声に
俺も安心して。
「ちょっとキュンとした？」なんて聞いたら
「それは自分で言っちゃダメだよ」って笑われた。
なんでもいいんだ。
貴方が笑ってくれるなら、なんでも。
「まつじゅーん、行けるー？」
「もう終わるっ！」
あの後、彼の体の傷を消毒して
俺のマネージャーに電話して、松潤と一緒に行くから迎えはいいと断り
松潤のマネージャーに送って行ってもらうことになった。
そして今、マネージャーから着いたと連絡があり
大急ぎで準備する松潤を待ってる。
「よしっ、行こう」
2人で家を出て、マネージャーの車に乗り込み
ごめん、と松潤が謝ると
まだ時間は大丈夫なんで、と言ってくれた。
「…あ、」
「どした？」
「相葉くん、ニノ…」
「あ…」
松潤にそう言われて思い出した。
そうだ、ニノは
松潤に心臓が2つあることだけを知っていて。
他のことなんて知らない。
「…や、いいよ。気にすんな」
「…いいの？」
「うん、松潤は気にしなくていい」
「ん、…ありがとう」
わざわざ話すこともないし
松潤に負担をかけたくない。
大丈夫だ。
バレなきゃいい。
「ほら、行こう」
「うん、」
局に着き、少し緊張気味の松潤に声をかけて
少しだけ覚悟を持って、楽屋へ向かった。
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ヲ伽 -otogi-(プロフ) - ともさん» 読んでいただきありがとうございます！黒くて闇が深くて、キレイなだけじゃないお話ですが、そこから何かを感じ取っていただけていたらうれしいです´`*。楽しんでいただけてよかったです(*^^*) (2021年3月14日 13時) (
レス) id: a5fdc137e0 (このIDを非表示/違反報告)
とも(プロフ) - とてもミステリアスな作品で簡単に「凄い」と一言で言い表せない。ただ純粋で優しい相葉ちゃんを騙してた？と思うと心が痛い(>_<)闇が深すぎて…理解し難い事だけど〜面白かったです。 (2021年3月14日 9時) (レス) id: bd0ebe94fc (このIDを非表示/違反報告)
ヲ伽 -otogi- (元つむぐ)(プロフ) - なるちゃんさん» コメントありがとうございます(；；)！描写や人の複雑さが伝わったのはすごく嬉しいです(；；)感想ありがとうございました！これからもよろしくお願いします(*^^*) (2019年8月27日 20時) (レス) id: cfd42291d9 (このIDを非表示/違反報告)
なるちゃん(プロフ) - うーむ、すごい作品に出会いました。人物の描写がまるで映像を見ているかのようです。カッターナイフのシーンは泣けました。人ってなんて複雑にできているのでしょうね。ありがとうございました！ (2019年8月24日 0時) (レス) id: f390aacf74 (このIDを非表示/違反報告)
ヲ伽 -otogi- (元つむぐ)(プロフ) - Smilepug0923さん» コメントありがとうございます！嘘を咲かせてから( °_° )ファンだなんて嬉しいです(；；)辻褄が合っていると言って頂き安心出来ました！( 笑 )半年間、ありがとうございました！どうぞこれからもよろしくお願いします(*^^*) (2019年8月22日 18時) (レス) id: cfd42291d9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ヲ伽 -otogi- (元つむぐ)
| 作成日時：2019年6月1日 20時
