beg.62 / 白の裏側 −A ページ19
頭が混乱する。
まるで漫画のように、
いろんな世界が入り混じってるような。
今さっき、松潤が眠ったはずなのに。
ベッドには、眠った彼じゃなく
上半身だけ起こした、“ 彼 ” 。
「なんで…、松潤がさっき…」
「アイツが眠ったから、僕が起きたの。
ただそれだけだよ」
何食わぬ顔でそう言う彼。
いつものことなんだろう。
それを、俺が知らないだけ。
たった、それだけ。
彼らにとっては、
何ら変わりないんだ。
一方が眠れば一方が目覚めて
一方が目覚めれば、一方が眠る。
その時点で既に
此処は、違う世界。
「大丈夫？固まっちゃってるじゃん」
「…あ、…うん」
腑抜けたような返事をした俺に、
潤ちゃんは優しく笑う。
そんな表情のまま、ふっとサイドテーブルの方へ向き
いつものようにメモを手に取る。
さっき松潤が書いてたメモだろう。
松潤がサイドテーブルに置いたのは見てた。
すると潤ちゃんは
そのメモを見た途端、表情が難しくなった。
…いや、
怒りを含み、
呆然としている時のように瞬きが少なくなった。
「……どうしたの？」
メモの内容が、気になる。
けれど、それじゃあさっきと一緒だ。
密かに湧いてくる好奇心を抑えて、
彼の様子を気にかけるように口を開いた。
「……そういやアイツ、
知らないうちに相葉くんに僕のこと話したんだね」
スっと質問を交わした彼。
メモを握る右手に力が入っているのか、
その部分だけ、紙がくしゃくしゃになっている。
「あぁ、うん。…聞いてなかったの？昨日のことだよ」
「うん。…アイツ、言わなかった」
潤ちゃんの右手に
より一層、力が籠る。
「あっ…いや、話すのに、泣いてたくらいだからさ。
言い難かった…の、かも」
明らかに怒ってる彼を見て、
なんとか怒りを静めようと、
言い訳がましいことを言うけれど
効果はない。
彼の表情は、怒りに満ち溢れたままだ。
「それで？相葉くんはどうしたの？」
「どうした…って、」
どんな答えを求められてるのか、
何が正解なのか。
全く分からずに戸惑っていると
下半身に掛かっていた布団をめくり、
そっとベッドから降りて
未だ、寝室の扉の前で座り込んだままだった俺の前に
しゃがみ込んだ。
至近距離で、
じっと俺の瞳を見つめる。
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ヲ伽 -otogi-(プロフ) - ともさん» 読んでいただきありがとうございます！黒くて闇が深くて、キレイなだけじゃないお話ですが、そこから何かを感じ取っていただけていたらうれしいです´`*。楽しんでいただけてよかったです(*^^*) (2021年3月14日 13時) (
レス) id: a5fdc137e0 (このIDを非表示/違反報告)
とも(プロフ) - とてもミステリアスな作品で簡単に「凄い」と一言で言い表せない。ただ純粋で優しい相葉ちゃんを騙してた？と思うと心が痛い(>_<)闇が深すぎて…理解し難い事だけど〜面白かったです。 (2021年3月14日 9時) (レス) id: bd0ebe94fc (このIDを非表示/違反報告)
ヲ伽 -otogi- (元つむぐ)(プロフ) - なるちゃんさん» コメントありがとうございます(；；)！描写や人の複雑さが伝わったのはすごく嬉しいです(；；)感想ありがとうございました！これからもよろしくお願いします(*^^*) (2019年8月27日 20時) (レス) id: cfd42291d9 (このIDを非表示/違反報告)
なるちゃん(プロフ) - うーむ、すごい作品に出会いました。人物の描写がまるで映像を見ているかのようです。カッターナイフのシーンは泣けました。人ってなんて複雑にできているのでしょうね。ありがとうございました！ (2019年8月24日 0時) (レス) id: f390aacf74 (このIDを非表示/違反報告)
ヲ伽 -otogi- (元つむぐ)(プロフ) - Smilepug0923さん» コメントありがとうございます！嘘を咲かせてから( °_° )ファンだなんて嬉しいです(；；)辻褄が合っていると言って頂き安心出来ました！( 笑 )半年間、ありがとうございました！どうぞこれからもよろしくお願いします(*^^*) (2019年8月22日 18時) (レス) id: cfd42291d9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ヲ伽 -otogi- (元つむぐ)
| 作成日時：2019年6月1日 20時
