beg.18 / 独 進 −A ページ19
シン、と静まり返った楽屋。
俺達の視線は、目の前の文字に釘付けで。
誰が、どう口を開けばいいか分からない中
ガチャ、と扉が開いた。
「あ、相葉くんおはよ。
てかみんな集まって何してんの？( 笑 )」
扉から入ってきたのは
二日酔いも無く、遅刻も無いのが嬉しいのか
珍しく朝からニコニコな松潤。
そんな彼は、4人で集まってしゃがんでる俺らを
笑いながら見てる。
「……潤くん、これ…」
「ん？」
4人とも彼を見上げたまま、
ニノがそう言うと
松潤も、不思議そうな顔をしながら
俺の隣にしゃがんだ。
ニノに見せられた紙を見た彼は
みるみるうちに笑顔が消えて。
「……なんだよこれ」
さっきとは違う低い声で、そう呟いた。
「……もしかしてこれ、俺の鞄から出てきた？」
文字から目を離さず、
そう言った彼に俺らは驚いた。
「え、なんで分かるの？」
「………え？…あ、いや…ほら、これ俺の鞄だし」
リーダーの質問に、ハッとしたように我に返って
苦笑気味にそう言った。
そんな彼に、
俺はまた、違和感を覚える。
──────…なんでそんな、焦ってるの？
「あ、そっか…そうだね」
「相葉さんがね」
「あ…ごめんね？松潤」
「いや、いいよ」
みんなは、何の違和感も無いらしく
やっぱり、ずっと松潤を気にかけてたからかなぁ、と
自分の違和感に納得する。
鞄を落としてしまったことを謝り、
再び、楽屋が静まりかえる。
「……松潤。…これ、今知ったんだよね」
その一瞬の静寂を破ったのは、翔ちゃんだった。
「…うん」
「何か…身に覚え、ある？」
「…いや、何も」
フルフルと首を横に振る。
それを合図に、リーダーと翔ちゃんとニノはどうしたものかと話し始めた。
松潤は、ニノから紙を預かり
それを、じっと見つめていて。
俺は、3人の話し合いに混じるフリをして
そんな彼の様子を盗み見ていた。
すると
紙を握る彼の手が、小刻みに震えた。
そんな彼の表情をチラリと伺うと
それは、怒りに満ちていた。
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作者名：つむぐ
| 作成日時：2019年3月26日 2時
