beg.16 / 距離の抑制 −A ページ17
「松潤。明日はほんと、頼むよ？」
「うん。明日はちゃんと来る」
話し合いをしたけれど
最終的に、松潤がなんとかならないと無理なわけで。
結果、3人が鋭い眼差しで松潤にそう言った。
明日は、5人の撮影がある。
彼は、恐る恐るそう答え
また、「ごめんなさい」と謝った。
「もう謝んなくていいから…
その代わり、当分飲むな」
「…はい」
「まぁ…今日はもう解散にしようか」
「…迷惑かけて、ごめんなさい」
「松潤、俺らに頭なんて下げなくてもいいよ」
リーダーが解散にしようと言うと、
松潤は再び、頭を下げて謝った。
そんな彼に、俺が頭を下げなくても、と言うと
みんなは、反省してんだからいいでしょ、と言う。
“ 本当は飲んでないんだよ ”
“ きっと、何かあったんだよ ”
そう言いたいけれど
彼は、あの瞬間の記憶が無い。
だから、俺が言っても無駄なわけで。
飲んでると思ってるみんなは、
俺がこんなに松潤を庇うことに疑問を持ってるんだろう。
それでもやっぱり、
彼には何かあったとしか思えないから。
「松潤、今日はもう帰ろう。送って行こうか？」
「ううん、大丈夫、ありがとう」
彼の顔を覗き込みそう尋ねると
弱々しく微笑み、首を横に振りそう言った。
明日もお願いします、と言ってソファを立った彼。
その瞬間、彼の体はグラついた。
「ちょっ、松潤！」
反射的に立ち上がり、
彼の体が床に打ち付けられる前に支えて
また、頭を抱える彼に声を掛ける。
「松潤、松潤？大丈夫？」
「……っや、め…っ」
大丈夫かと声を掛けると、
体が震え始めて
俺にしか聞こえないほどの小さな声で、
微かに、“ やめて ” と囁いた。
そして、頭を抱えていた手で目を覆った。
「ちょ、潤くん？」
「おい、大丈夫か？」
「相葉ちゃん、ソファに寝かせなよ」
様子がおかしい松潤を見て、3人も慌て始めて
リーダーの指示に従って松潤を抱きあげようと思ったけれど
それは、松潤に制止された。
「……だ、…じょ、ぶ」
「どこがだよ…！
ずっと具合悪かったんじゃないの！？
今日遅れたのだって──────」
「大丈夫だから！！
……心配かけてごめん」
つい声を荒らげてしまった。
そんな俺を、グイッと押して
「明日は、ちゃんと来るから」そう言い残して、
顔をあげず、少し俯いて
自分の荷物を持って、楽屋を出て行った。
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作者名：つむぐ
| 作成日時：2019年3月26日 2時
