乞ウモリ (ページ13)

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beg.12 / illusion －A ページ13

震度2だろうか。

いや、そんなには無いな。

震度1くらい。

さっきから、マネージャーの貧乏ゆすりが止まらない。

「来た！？」

「いや…まだ」

プロデューサーに謝ってくれていたリーダーが
楽屋の扉を開けた瞬間に、俺とニノに尋ねたけれど
ニノの返事に、ガックリと肩を落とした。

そして、リーダーに続いて、ゲストの方に謝ってくれていた翔ちゃんも戻ってきて
その彼もまた、肩を落とした。

「くそっ、出ない…」

ニノがまた、携帯に向かって溜息をつく。

「…アイツが遅刻なんて無かったのにな」

集合時間は9時。
現在時刻は、11時。

松潤が、来ない。

4日連続二日酔いの上、5日目には遅刻。

そのせいで、マネージャーの怒りは頂点に達した。
松潤の二日酔いの噂を知っているプロデューサーはイライラしていて、ゲストさんも少し怒り気味。

空気は最悪。

そんな中俺は、微動だに出来なかった。

昨夜の彼の微笑みが俺に持たせた違和感が
どうしても消えず

やっぱり家まで送ればよかった、と
罪悪感までも湧き上がる。

あの後、何時まであそこに居たんだろう。

帰るのが遅くて寝坊したのかな。

そうだとしても、あんなところに遅くまで？

「ちょっと、相葉さんが電話してみて」

「え？あぁ…うん」

ボーッと考えていると、ニノにそう言われて
徐に、ポケットから携帯を取り出す。

松潤、松潤…と心の中で呟きながら名前を探すと
また、あの微笑みが脳裏に浮かぶ。

あぁ、もう嫌んなるな。

彼の名前を見つけた瞬間

扉の向こうから、ものすごい足音が聞こえてきて
なんだなんだ、と顔を上げると

「すみません────…！！！」

冷や汗だらけの松潤が、楽屋に駆け込んできた。