急行5◆空 ページ5
「え───」
茂庭を見つめる烏野陣。その複数の視線を受けて、茂庭は居心地悪そうに目線をさ迷わせる。
「え、えっと───」
「おい茂庭、早く前出ろよ!」
「ちょっ、わっ!」
後ろの誰かに背中を押され、よろけながら前へ出てきた。その後ろには、ガタイの良い金髪。
「おっ」
「えっ」
「へっ?」
ここでやっと顔を合わせる2校。
2年生の後ろで烏野陣を見つめる伊達工1年生。
二口が女川に囁く。
「なあ、この状況どう思う?」
「んー………」
それを受けて、烏野陣を見つめ直す女川。
少し時間をおいて、やがて口を開いた。
「全身黒っ!」
「違うパンタロンそこじゃない」
的確につっこむ二口。ボーッと立つ女川の両肩を掴む。
「どう考えても異常だろこの状況!! 俺はそれを訊いたんだよ!!」
「ハイハイ」
「いや聞けよ!!」
面倒くさそうに眉根を寄せる女川の肩を揺さぶる二口を、隣から小原がなだめる。
それを肩越しに見ながら、笹谷は澤村を見つめて話しはじめる。
「えーっとさ、お宅らはいつからここに?」
「あー」
右手を後頭部に回し、掻きながら答える澤村。
「うちは気がついたらここに居たんです。とりあえず全員居ることには居るんですが………そちらは?」
「うちも一緒ッスよ。気がついたらここに。いつ誰に連れてこられたのか全くわからないんですけどね〜」
ハハッと笑って流す笹谷。笑い事ではないだろうと、東峰と縁下は思った。
そのときだった。
『ハーイ、皆さんおはようこざいまーす! 寝覚めはどうですかー?』
雑音と共に流れた車内放送。
古い車内には似つかない、明るくホップな………それでいて男か女かわからない、性別の無いような声。一同に緊張が走る。
『………あれ、もしかして聴こえてない? おーい、おーい!』
「聴こえてるぞー!」
「ちょっ、おいノヤッさん返事すんなよっ!」
条件反射で返答した西谷を叩く田中。
相対的に、謎の声は続く。
『よかったー! 全員居るね! ところで───』
少し、声が低くなった気がした。
『君達の中の誰か、身体に模様ない?』
あるとラッキーボーイなんだよねー、と話す声に、皆シャツを捲るなどして"模様"を探す。
「───あっ」
「ひえっ」
やがて、ふたつの声があがった。
「ど、どうした?」
何かを抑えたような成田の声が車内に広がる。
「俺、あった………」
「お、俺も………」
静かな声と震え声。
その主達は、伊達工主将の茂庭と、烏野1年の木下だった。
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ーーー - 面白いです!更新頑張ってください! (2019年1月22日 23時) (レス) id: 8c9efd1690 (このIDを非表示/違反報告)
恋人未満(空中浮遊)(プロフ) - みみずくへっどさん» ありがとうございます!!返信遅くなってすみませんっ!ぼちぼち更新していきます(* ̄∇ ̄)ノ (2017年3月28日 13時) (レス) id: 22b4f5ce74 (このIDを非表示/違反報告)
みみずくへっど - お二人ともスゴいですね!面白いです♪更新楽しみにしてます! (2017年2月19日 12時) (レス) id: c2cc821e88 (このIDを非表示/違反報告)
雪奈(プロフ) - 恋人未満(空中浮遊)さん» はは〜!恋人未満(空中浮遊)様の仰せのままに〜!(笑) (2017年2月11日 19時) (レス) id: b4be5d40c4 (このIDを非表示/違反報告)
恋人未満(空中浮遊)(プロフ) - 雪奈さん» ありがとう!!改名の移行期間なの←土下座!?お、面を上げい← (2017年2月11日 19時) (レス) id: 22b4f5ce74 (このIDを非表示/違反報告)
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