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「木下が、可笑しい……?」
「はい……なんか、俺が喋りかけても初対面の人と話してるみたいに堅いし、目もずっとぐるぐるしてて合わなくて……」

話を聞く限り、記憶喪失によって西谷の事を覚えていないのだろう。目が合わないのは、恐らく、失明。

「とりあえず、連れていってくれないか」
「はいッス!! こっちです!!」





西谷が来た道……道と言うにはらしくない草木の間を走り抜けていく。身が軽い彼の動きについていくと、確かに木下久志はそこに居た。

胡座をかいて座り込み、まるで置物かのように微動だにしない。大きなアーモンド型の目は伏し目がちになってじっと俯いているその姿は、どこか寂しそうな表情をしているように感じた。

「木下! 俺だ、澤村だ! わかるか?」
「さわ、むら……誰?」
「木下……お前、やっぱり……」

木下からの返答に、澤村は唖然とする。まさか、そんな。何故。どうしてこんなことに。

「……なあ、自分の名前はわかるか? 今目の前に何が見えてる?」

菅原がしゃがみこみ、木下に目線を合わせる。しかし彼の目は虚空をさ迷い続けている。

「名前は……多分……きのした……ひさし? えっと……目の前は……何も……」
「何も? 見えない?」
「うん……真っ暗で……」

やはりか。菅原は微かに顔をしかめた。可愛い後輩が失明し、記憶喪失になったなんて。後輩の事を人一倍可愛がっていた彼には、辛いことだった。

いつもは一度合うと微笑んでから外す視線。真っ直ぐ見つめてきて、どうしようもなくバカ正直で、悪戯好きな、努力家の木下。
それがどうだろうか。今の彼は、まるで生まれたての赤ん坊のように目線をさ迷わせ、幼児が話すように辿々しく、そして控えめな言葉に……いつもなら絶やさない先輩への敬語も、今は全く見当たらない。

「木下さん……、本当に……っ」
「えっと……ごめん、見えないし、君の……君達のことも、自分のことも、わからないんだ」

相手が見えていないなりに、申し訳なさそうな顔をする木下。恐らく、声のする場所から話している人数と誰が発言したかを察しているのだろう。

「えっと……なんか、ごめんなさい……」
「……お前が謝る必要はないよ、木下。さ、不安だろうけど、俺達の仲間のところへ……木下の仲間のところへ、帰ろう」
「……? はい…………?」

顔を上げ、不安げな表情を浮かべる木下。澤村と菅原はそんな彼の両の手を優しくとって握り、それを引いて歩きだした。

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ゆぃ 木下推し - 続きがとても気になっています。更新頑張ってください。 (2018年4月20日 19時) (レス) id: c0bf554f1b (このIDを非表示/違反報告)
かもめ - えっヤバイ泣く(((←澤村さんと菅さんかっこいい(泣)木下大丈夫かな…。更新頑張ってください! (2017年12月4日 19時) (レス) id: f91e668e34 (このIDを非表示/違反報告)
みかん - 木下大丈夫ですか?!更新待ってます!! (2017年7月17日 13時) (レス) id: 391e8e1f2a (このIDを非表示/違反報告)
お稲荷さん - 更新待ってます! (2017年3月28日 20時) (レス) id: ce477b9b81 (このIDを非表示/違反報告)
菅島さや衛門(プロフ) - 恋人未満(空中浮遊)さん» 空中浮遊さんの小説本当に大好きです!更新待ってます!! (2017年3月20日 21時) (レス) id: fb8535b8cb (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:空中浮遊 x他1人 | 作者ホームページ:http:  
作成日時:2016年12月31日 20時

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