【キ.ヨ】9年目はきみと【9周年記念】

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「･････なんで･･･ここに･････？」



目の前に居るのはキヨだ

しかも、同じ空間に居る






「さぁ･･･俺もなんでか分かんね･････」



キヨの呼吸が浅い

それに何だか苦しそうだ





「････ダメだよここに居ちゃ･･･！！」




そう、ここは死の淵


ここに居たら、きっとキヨも





「･･･早く帰って！じゃないとキヨまで･･･！！」



キヨの手を離そうと力を込めた


だけどそれは意図も簡単に防がれる







「･･･A･･･」




名前を呼んだキヨを見上げる


目と目が合って息が止まった



「約束を守らなかったのは俺だ･･･」




「･････き･･･よ･･･」




「･･･ごめん･･･お願いだから･････諦めないでくれよ･･･」




どんなときも、絶対に人前で泣かなかったキヨの瞳から涙が零れた









･･･ダメだよ



キヨにはずっと笑顔でいて欲しいのに





「････無理だよ･･･私はもうキヨと同じ世界には帰れないよ･･･！！！！」





もうキヨと同じ歩幅では歩けない



私が居なくたって世界はなにも変わらずに進んでいく




「･･･守れなかった約束だって･･･もう･････」





この9年間を取り戻すことなんで出来ないんだから



終わらせるって


決めたのに






.









「･････だよ･･･」







「･････････っ」









.





ぐっと腕を引かれて





気付けば私はキヨの腕の中にいた







感覚なんてものは恐らく幻想



だけど、私をぎゅっと抱き締めたキヨの腕の中はあたたかく感じた








「･････駄目なんだよ･･･」




身動きが取れずに
私は只、その声を聞くことしか出来ない






「･･･Aが居なきゃ駄目なんだよ！！」






「──────････」






「守れなかったってんなら･･･これから先守ってけばいいだろ･･･」





「･･･え･･･？」





「果たしたいんだ･････



9年目は･･･お前と一緒に･････」









“9年目は







一緒に”









それは



存在意義を失くした私を

優しく包み込むような言葉だった





「･･･キヨ･････わたし･････ほんとはっ･･･」







本当はもっと生きたいの






出来ることなら






ずっとずっとキヨと一緒に居たいの









だけど





「････キヨ･･･」





もう、時間切れみたい







「･･･お迎えが来ちゃった･････」




最後の力でキヨを押し離した



私の体が

闇の中から強い引力に引かれた






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