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第三十一話:予定変更 ページ34

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唸るような雷鳴が格技場に轟く。

頭上には黒雲が立ち込めており、今にも放電してしまいそうな雰囲気があった。

『……どうやら、私は君を甘く見ていたようだ』

Aは静かな声でそう言った。その瞬間、パキン、と魔法石が砕け、またもや鋭い光線がシャオロンを襲った。

しかし、シャオロンはそれらをいとも容易く稲妻を纏わせたシャベルで弾き飛ばし、狂気的に嗤いながらA目掛けて走り出した。

Aは再度光線を放つが、先程とは比べ物にならない速さでシャオロンが迫る。今までの攻撃では太刀打ち出来ないと判断したAはシャオロンが横薙ぎに振るったシャベルを屈んで躱し、流れるように足を払う。

それは当然の如く躱されてしまうが、Aが彼から距離を取るには十分だった。

Aは軽やかに飛び跳ねながら、後ろに下がる。

暫くの間、両者が睨み合うような形になる。

ざり、と地面と靴が擦れる音がしたかと思えば、Aの目の前までシャオロンが迫っていた。

攻撃の準備が出来ていなかったAは額の前で腕を交差して振り下ろされるシャベルを防ぐ。強化魔法を付与しても尚、ミシリ、と腕の骨が軋んだ。


────折られる─…!


即座にそう判断したAは強烈な蹴りを寸分違わずシャオロンの鳩尾に打ち込む。

シャオロンはろくな防御も出来ず後方へ吹っ飛ばされるが、すぐに体勢を立て直しAに立ち向かった。

最早、殴り合いと化した決闘をオーディエンスは声援を送るのも忘れて魅入っていた。


殴れば殴られ、殴られれば殴る。


いっそ永遠に続いてしまうのではないかと思われた攻防戦に一手を打ったのはシャオロンであった。

シャオロンの上段蹴りを防ぐ為に一瞬だけガラ空きとなってしまったAの右頬目掛けて、シャオロンが容赦無い裏拳が御見舞いする。

『ッ、ぐ……!』

ゴッ、と骨と骨がぶつかり合う鈍い音が響く。

ふらふらとした足取りでAはシャオロンから距離を取る。口元に手の甲をやり俯かせてしまっている為、その表情は伺うことは出来ないが、予想外の攻撃に戸惑っているようだった。


『……まさか、私の顔を殴るとはな…』
「女だからって容赦はしない主義やからな。それともなんや、もう終わりか?」
()かせ』

ゆらり、とAは顔を上げる。怒りと戸惑いに満ちているかと思われたその表情は、あろう事か楽しげに歪んでいた。


『予定変更だ。真っ正面から掛かって来い』


持っていた魔法石を全て投げ捨てて、Aは好戦的に嗤った。




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戦闘シーン大好き爺。

第三十二話:過保護→←第三十話:狂犬



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鶴木(プロフ) - しおりんさん» ありがとうございます! (2020年9月13日 13時) (レス) id: 9ab679ed16 (このIDを非表示/違反報告)
しおりん(プロフ) - あ″ぁ好き!シナリオ面白いです(*´∇`*)本当に!いい展開! (2020年9月12日 23時) (レス) id: 527cd6ca75 (このIDを非表示/違反報告)
鶴木(プロフ) - Tさんさん» ひゃー!ありがとうございます!!女王様主人公大好きなので動かすのが楽しいです……更新頑張ります!! (2020年8月9日 18時) (レス) id: 9ab679ed16 (このIDを非表示/違反報告)
Tさん(プロフ) - 主人公の性格と世界線が凄い好きです…! もう、好きです!(2回目)無理しない程に頑張って下さい!応援しております〜、 (2020年8月9日 14時) (レス) id: 0fb9fed1ca (このIDを非表示/違反報告)
鶴木(プロフ) - #よにん。@変人系カップル&シトラ教教組さん» ありがとうございます!頑張ります! (2020年8月5日 16時) (レス) id: 9ab679ed16 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:鶴木 | 作成日時:2020年7月20日 22時

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