第十二話:改革案起草 ページ13
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放課後、Aは会議室に入ってすぐその異変に気が付いた。
彼奴が、居ない。
『今日、森川は居ないのか?』
森川、というのは昨日の会議で過激な発言によりAの機嫌を損ねた件の生徒である。Aの記憶にある限り、彼が会議や仕事をサボったことは無かった筈だ。
Aの問い掛けに、彼とはクラスメイトである女子生徒が困ったように眉を下げながら答えた。
「そうなんです。学校にも来てなくて……彼、休んだ事なんか一度も無かったのに」
───好都合と言えば、好都合だな。
『そうか。残念だが、今日は森川を抜いての会議になる。話し合いの内容は君から彼に伝えておいてくれ』
「分かりました」
『さて、他の者も会議の準備を始めろ。メンバーが集まり次第、会議を始める』
Aの一声で、集まった生徒達は各自会議の準備に取り掛かった。
─────…
『これより、前回に引き続き、生徒会選挙改革案の話し合いを始める。私からの提案は前回同様、選挙権を全校生徒に拡大、生徒会長による推薦の取り止めだ。他に提案もしくは意見がある者は居るか』
Aがそう言うと、おずおずといった様子で一人の女子生徒が手を挙げた。
「あの、意見なのですが…昨日、森川君が言っていたように、巫山戯半分で生徒会長に立候補する生徒が居ないとは言いきれないと思うんです。ですから、"抑止力"が必要だと思います」
『ほう、具体的には?』
Aが興味を滲ませた視線を送ると、彼女は少し縮こまりながら懸命に言葉を探しながら話し出した。
「例えばですが、一クラスに三人立候補者が出たとします。そのまま三人が選挙に出馬するのではなく、一旦、その立候補者達が生徒会に相応しいか話し合う場をクラスなどで設けるのはどうでしょうか」
「成程、特定の誰かやなくてクラス全体が抑止力になればええってことか」
『中々良い案だな。採用だ』
Aはそう言うと、ひとらんは草案に彼女が提示した内容を書き記す。彼女はぱっと顔を明るくして「ありがとうございます、生徒会長!」と言った。
『他に意見がある者は居るか』
Aの問い掛けに誰も挙手をしない。会議室に居る全員が真剣な面持ちで、ただ彼女が座る上座を見詰めていた。Aは血色の良い唇を吊り上げて微笑する。
『では、決まりだな』
────【桐ノ院学園校則改革計画】
生徒会選挙改革案起草────
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鶴木(プロフ) - しおりんさん» ありがとうございます! (2020年9月13日 13時) (レス) id: 9ab679ed16 (このIDを非表示/違反報告)
しおりん(プロフ) - あ″ぁ好き!シナリオ面白いです(*´∇`*)本当に!いい展開! (2020年9月12日 23時) (レス) id: 527cd6ca75 (このIDを非表示/違反報告)
鶴木(プロフ) - Tさんさん» ひゃー!ありがとうございます!!女王様主人公大好きなので動かすのが楽しいです……更新頑張ります!! (2020年8月9日 18時) (レス) id: 9ab679ed16 (このIDを非表示/違反報告)
Tさん(プロフ) - 主人公の性格と世界線が凄い好きです…! もう、好きです!(2回目)無理しない程に頑張って下さい!応援しております〜、 (2020年8月9日 14時) (レス) id: 0fb9fed1ca (このIDを非表示/違反報告)
鶴木(プロフ) - #よにん。@変人系カップル&シトラ教教組さん» ありがとうございます!頑張ります! (2020年8月5日 16時) (レス) id: 9ab679ed16 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:鶴木 | 作成日時:2020年7月20日 22時