第十一話:深紅と白 ページ12
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『上手くいかないものだな……』
Aは一人、中庭で弁当をつつきながらそう呟いた。
結局、昨日の会議で生徒会選挙の民主化の改革案が起草されることはなく、翌日──つまり今日の会議に持ち越しとなった。
───昨日の生徒……あれは周りより少々過激だが、彼やここの教師のように校則の改革を望まない生徒だって少なからず居ることは分かっていた。
彼らの存在は、正直言って邪魔だ。
だからと言ってかつての私のように生徒会から追い出したりは出来ない。そんなことしてしまえば、また暴君と呼ばれるのは目に見えている。
変わってやると、運命に逆らってやると決めた。あんな屈辱的な最後はもう二度とごめんだ。
その為には、やはり彼だけでも説得する必要がありそうだ。
『はぁ…骨が折れるな……』
「どうしたの？そんな思い詰めた顔して」
『……なんだ、白波か』
「あれ、驚かないのか」
『いや驚いてはいるぞ』
私だって背後から突然声を掛けられたら驚く。ただ人より表情に出にくいだけであって。
ベンチの真ん中を占領していたので、彼が座りやすいよう横に移動すれば、彼は簡単にお礼を言って隣に座った。
「それで、何悩んでたの？」
『あぁ、昨日の事について少しな』
「あれかぁ、ちょっと彼は過激だったね」
『白波もそう思うか…それで、彼についてなんだが……どうした』
やけに横から視線が飛んでくると思い、話を一旦切って彼の方を向けば、真剣な顔付きでこちらを凝視していた。
「ひとらん」
『……え？』
「ひとらんって呼んでよ。前みたいにさ」
……何故。そう問おうとしたが、やめた。そもそも、元々彼のことは愛称で呼んでいた。なら彼の言う通り、前の呼び方に戻しても何ら可笑しくないだろう。
『じゃあ、ひとらん。話を戻すが……何を笑っている』
「いや、素直だなぁって。俺、Aのそういうところ好きだよ」
『そうか。それは有難いことだ』
「拗ねないでよ。ちょっと揶揄っただけじゃん」
『拗ねてなどいない』
つんつんと頬をつつく彼の手を払い除けながら、箸を進める。
ひとらんは温厚な男だが、時折こうやって私を揶揄う真似をするのは許せん。
拗ねたように黙々と弁当を食べ進めるAを愛しそうにひとらんが見ていたのを彼女は知らない。
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8月3日 タイトルが気に入らなかったので変更しました。
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鶴木(プロフ) - しおりんさん» ありがとうございます！ (2020年9月13日 13時) (
レス) id: 9ab679ed16 (このIDを非表示/違反報告)
しおりん(プロフ) - あ″ぁ好き！シナリオ面白いです(*´∇｀*)本当に！いい展開！ (2020年9月12日 23時) (レス) id: 527cd6ca75 (このIDを非表示/違反報告)
鶴木(プロフ) - Tさんさん» ひゃー！ありがとうございます！！女王様主人公大好きなので動かすのが楽しいです……更新頑張ります！！ (2020年8月9日 18時) (レス) id: 9ab679ed16 (このIDを非表示/違反報告)
Tさん(プロフ) - 主人公の性格と世界線が凄い好きです…！ もう、好きです！(2回目)無理しない程に頑張って下さい！応援しております〜、 (2020年8月9日 14時) (レス) id: 0fb9fed1ca (このIDを非表示/違反報告)
鶴木(プロフ) - #よにん。＠変人系カップル＆シトラ教教組さん» ありがとうございます！頑張ります！ (2020年8月5日 16時) (レス) id: 9ab679ed16 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：鶴木 | 作成日時：2020年7月20日 22時
