『d!』【旧校舎の浮遊人】『学パロ・em』 (ページ8)

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どきんページ8

それに気づいた途端、彼女とこの空間にいることが何となく気まづくなって、しかし突然逃げ出すというのも何だか嫌だ、どうしたらいいか分からなくなってフッと視線を外してしまった。

不自然な行動だったにもかかわらず彼女はどうしたの、と声をかけてくれた

心配してくれるのは嬉しい。けど、ちらりと見た瞳の奥で俺がどういう人間なのかを探っている。一度そうと考えてしまうともうそうとしか考えられなくなる。何を言われてもなんだか疑ってしまうのだ

だってこちらだって彼女の事はなんにも知らない。自分が周りを心配させてまで惹かれた相手であろうと、知らないものに恐怖するのは自然な事だ、人間相手であっても、だ。

【こんな時間になっちゃったけど、大丈夫なの】

『は、ぇ…もうか、かえり…ます。そのそれ、返しに来ただけなので……』

【そっか、あ。一緒に帰る？】

『えっ、えっえっえｯ！？』

【嘘だよ】

『…えぇ……』

【はひひ…何その反応…最高だねエーミール君】

この人俺の事絶対からかって遊んどるやんけ！！

何だか変に警戒してたのがアホらしくなってきた。今日明らかになったのは彼女は俺をからかうのが好きだと言うことだ。

名前は……またいつか聞ければそれでいい。知らなくたって聞けるそのいつかが来れば大丈夫だ、きっと。

『じゃあ、今日は帰ります』

【あれ、一緒に帰らないの】

『えっ、ほ、本気なんですか？』

【冗談だけど？】

『どっちなんですかぁ！！』

【つい、ついね？ごめんよ。】

『もう……では、また明日』

そう言って荷物を持ち、教室の扉を開こうとする、しかし何故か急に後ろからガシッとその手を止められてしまった。

それから掴まれている手とは反対の手が伸びてきて、後ろからトンッと挟まれる

……これは俗に言う壁ドンと言うやつでは？

そう気づいて意識すると早かった。心臓がまたバクバクと破裂しそうなほど活動し始める、先程の彼女の香りが、近いからか先程より強く感じられた。俺の手を掴む彼女の手は人より暖かく…いや暑すぎる

【明日も会ってくれるんだ？】

『そ、そうです』

【これ返しに来ただけなのに？君もう私に予定ないのに来るの？】

『理由が無いと会ったらいけないんですか……？』

くるりと向いた先にはピンク色の瞳、長い睫毛、くっつきそうな鼻先、擽る香り

彼女の背はきっと平均より高い、でもそれにしたって身長は自分の方が高いはずなのに、浮いているからか彼女の方が高い