『d!』【旧校舎の浮遊人】『学パロ・em』 (ページ6)

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ずずいページ6

あれからまた一週間後のこと、そろそろ良いかと思い放課後にまた旧校舎へ足を踏み入れた。
一週間前の出来事からいつも通りになった私を見て友人達は諦めたのか、二日目辺りから問い詰めることを辞めた
たまに心配はしてくれたもののいつも通りの生活に戻っていったのである。

心配してくれる友人がいるというのは嬉しい限りだが、あんな尋問のようなお悩み相談会は二度と御免だ

それに今日こそあの子にハンカチとタオルを返したい。

今日もクルクルと旧校舎を散策するあの子は何処に現れるのか分からない、相手にも意思がある、それにどんな人か知らないからどこを通りそうなんて分かりっこない、尚更見つけるのが難しい。

しかし今日はふと、足を止めた教室があった、委員の仕事の時に、本を運ぶ教室。

今日は手でそっと扉を開く、古い木の扉はぎしぎし、ガタガタと音を立てながら難なく開いた。

『……ぁ』

いた

【………はぁ…】

机に座っていた彼女は物音に気づいたのかこちらを見やると大きくため息をついて、ダンボールから古本を取り出しペラペラと本を捲り、直ぐに閉じて次の本へと手を付けた。

自分には興味が無い。と断言している様子にはたいへん傷ついたが、めげることなく、できるだけ静かに扉を閉めて彼女の傍によった

『……えっと…あの』

【なに】

『ぁ…これ、返したくて』

鞄からハンカチとタオルを取り出しおずおずと差し出すと、彼女は目を見開いた

【…もしかしてこれ返す為だけに一時期ここに通ってた？】

『えっ、な…なんで知ってるんですか…？』

【知ってるも何も…………いや、うん…わざわざありがとう】

最後は何故か濁されたが。彼女は先程より優しい……いや生暖かい目というところだろうか、睨むようにキツかった目元は多少緩くなっていた

『ここで何か探していたんですか…？本の捜し物なら新校舎の図書室でも……』

【別に、探し物なんてない。こうやって手当たり次第に本読んでただけ】

その言葉に今度はこちらが目を見開いた、質問に答えながらも彼女は両手で本を持ち親指でパラパラパラパラと本を見てはすぐに閉じてそばに置き、新しくダンボールに入った本を取り出す。その間は二十秒にも満たない…いや、もっと短いし速いと思う

『速読…にしてはすごく早いですね』