『d!』【旧校舎の浮遊人】『学パロ・em』 (ページ18)

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ふわふわページ18

小野町さんが早々に仕事を終わらせ帰って行った。小野町さんのAさんに対する感情は客観的に見ても、異常だと分かった。

事情を知っていると尚更そう感じた。

Aさんは、嵐が過ぎ去っても少し震えていた。仲良くなれると思って二人の所に連れてきたが、誤算があったことでAさんにストレスを与えてしまった。今日は来ないと、事前から知っていてこの日に連れてきたのに。

『Aさん、大丈夫ですよ。私がそばに居ますから…』

ストレスの影響かAさんの身体が少し浮き始める。

隣に座っていたオスマンさんがそれに気づかない訳もなく、驚いた表情でAさんを見つめて、何かを察したのか懸命に励ました。

『大丈夫やで、氷室ちゃん。もう怖いものは何にも無いから…な？』

そんな様子にグルッペンさんも何かに気づいた様子だった。

『氷室さん…無理を承知で聞くが、何があったのか言えるか？』

【………すみません】

『そうか、大丈夫だ。安心しろ、今ここには君を非難したり、卑下するものは居ない。好きなだけ居るといい』

【ありがとうございます…】

『そんなに沈んだ顔してたら折角の美人さんが台無しめぅ。せや、ハーブティーを淹れたろか、俺最近これに凝ってんねん。』

席を立ちテキパキと準備をし始めたオスマンさんを横目にAさんの手を握る

【え、エーミール君……わ、わたしは】

『…はい』

グッと一度押し黙ったAさんは、パッとこちらを向いて飛びついた、そして興奮した様子で私の肩を揺らした

【私は、う、嬉しい！つ、っ、つつ…！遂に言ってやった……！は、はは…！…とても緊張したよｯ】

『わ、わ、わっ分かりましたから、揺らさないで下さい！！』

【あはは！つい、ね。エーミール君、君が居てくれたおかげだよ、君が守ってくれるって言ってくれたから、私は少しでも抵抗する為の勇気を出せたんだ、嫌だって。言えたんだよ】

『！…そうですか、私がAさんの勇気になれて…とても嬉しいです』

ふんふん、とAさんは満足気に笑った。

『あーイチャついてるところ悪いんだがな、氷室さん』

【なんだい、グルッペン君】

『旧校舎の浮遊霊は…もしかしなくても君か？』

【あぁ…あの噂か、そうだよ。見てわかる通りさ】

私から離れたAさんが立ち上がるとそのままフワリと浮いた。