『d!』【旧校舎の浮遊人】『学パロ・em』 (ページ16)

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そこまで聞いて二人は再度彼女を抱きしめて、今まで頑張ったな、と彼女を励ました。

二人に抱きしめられている彼女は、顔色は変えなかったが、堰を切ったようにぼろぼろと涙を溢れさせた、それに気づいた二人とゾムさんがギョッとして慌て出す

『Aちゃんそんなに抱え込んどったん…！？』

『大丈夫か…！？』

『Aサン、タオル使うか…？！』

【泣くつもりなんて無かったんだけど……私は平気だよ】

ケロリとした顔でぼろぼろと涙だけ流す彼女に、三人が困惑する、こんな状況普通じゃ困惑する…自分も内心気が気じゃない

『Aさん、貴女は平気じゃないから泣いているんですよ。平気じゃないこと自体が思い込みだ。今泣いているのも、二人に安心感を抱いたから溢れたんじゃないですか？』

こちらの話をぽかん、と聞いていた彼女だったが少し考えた後に、【そう、なのかも】と恥ずかしそうに答えた

『もうっAちゃんほんっっとに可愛ええな！？』

『はぁぁ…つら……かわよ』

【え、えへ…えへへ】

『Aサン可愛ええ妹って感じやな…なんか目が離せんわ』

三人がぎゅうぎゅう、とAさんを囲う、微笑ましい光景を眺めていると、チャイムが鳴ってしまった

【エーミール君、もう行くの…？】

『はい、授業がありますから……でも、いつでも連絡してください、すぐに行きますから』

【ん…またね、エーミール君】

ひらっ、と手を振った彼女に手を振り返してゾムさんを引っ張りながら教室を出る

『もー！別に俺はええやんか！』

『良くないです、せっかく早く来たんですから出席するべきです』

『ちぇ～っ！またなAサン！』

『二度と来るな～！』

『一生Aに顔見せるなー！』

【こら、二人ともやめて。ごめんね、ゾム君もまたね～】

『お、おん……』

『過激派にしては度が過ぎる……』

あの二人は随分とAさんが好きなよう、あそこまで仲がええと羨ましいなぁ。

そんなことを思いながら、急いで教室へと向かった