『d!』【旧校舎の浮遊人】『学パロ・em』 (ページ11)

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ふわりと浮いていた彼女の足が、ペタリと地面に着いた。今まで我慢していたのかひぐひぐとしゃくり上げながらボロボロと涙を流す

黙って引き寄せ腕の中に閉じ込める、肩に頭をグリグリと押し付けて彼女はさらに声を上げて泣いた、ただただ、その時気が晴れるで、ずっと。

落ち着いてきた頃彼女が小さくこちらに囁く

【えーみーるくん】

『はい』

【…たすけて】

『もちろんですよ』

心身共に彼女をここまで傷付けたあいつらへの憎悪が膨れる、しかし私一人で解決できることでもない

『保健室に行きましょう、そしたら親御さんに連絡もして迎えに来てもらいましょう』

【…ありがとうエーミール君】

こちらを見上げた彼女の顔がすごく近いことに気付いて、バババッと離れる。こんな状況とはいえ女子に抱きついてしまうなんて……！

ぽかん、とこちらを見ていた彼女がくすくすと笑い出し、仕舞いにはツボってしまったのか腹を抱えだした。あまりにも長く笑うものだから流石にムカッとしてしまう

『そ、そんなに笑わなくたっていいじゃないですか…！』

【ご、ごめんねっ…でも、可笑しくって…！】

さっき凄くかっこよかったのに、とまた暫く笑った、その言葉にこちらはドキドキして、気が気じゃなかった。

そして落ち着いたのか、ふう。と息を整えた

【ありがとう、エーミール君…本当に】

『…良いんですよ』

彼女を保健室に連れていけば保健室にいた養護教諭のしんぺい神先生に酷く驚かれる

『Aちゃん！？どうしたの！？何があったの、そんなびしょ濡れで……！』

『しんぺい神さん取り敢えず大きいタオルと変えの制服を貸してはいただけないですか』

『そうだよね…話は後で聞くからね？エーミール、エアコンの温度上げて、Aちゃんは椅子に座ってて』

【でも、椅子濡れちゃうし】

『そんなの拭けばいいんだから、いいの』

そう言ってしんぺい神さんは彼女を座らせる、そんなやり取りを横目にエアコンの設定を変える。

『寒くないですか？』

【ん、大丈夫】

『髪の毛、しっかりタオルで拭いた方がいいですよ』

彼女の頭に掛けていただけのタオルを取って、未だに少し水が滴る髪をタオルで挟むようにして丁寧に拭いていく、ふと彼女を見れば目が合った。彼女はこちらをじいっと見つめてからピンク色の瞳を蕩けさせ、僅かに頬を緩めてにへら、と笑った