願いが叶うのならば Ⅳ (ページ6)

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大ちゃんはとっても優しい。

それでいて、明るくて優しくて、おもしろくて
兄弟だけど、正反対のような兄に昔から憧れていた

そんな大ちゃんになら自然になんでも話せてしまう気がして

保健室のベッドにふたり腰掛けて
昼休みにあった出来事をぜんぶ打ち明けた。

大貴「りょうすけのこと、一ミリも知らないやつらに

そんなこと言われても気にすること、ないんだよ」

涼介「でも…」

大貴「でも？」

涼介「ぼく、やっぱ…ふつう、じゃないもん…」

話しているとまたさらに、涙がぽろぽろと流れてしまう

小さい頃からわかっていたつもりだったけれど、いざ誰かに言われると、苦しかった

大貴「…ふつうじゃなくてもいいじゃん
涼介は涼介だし、わかってくれる人は絶対にいる。

俺だって、父さんや母さんもそうだし、

涼介のクラスの子はみんな分かってくれてるでしょ？

そんな知らない人の悪口を言わなきゃ、生きていけないような人の言葉なんて

これっぽっちも価値もないし、関わる必要もないからさ、

気にすることないよ、ね…？」

…どうして、大ちゃんの言葉は、存在は、

こんなにも暖かくて、かっこいいんだろう…

大ちゃんのほかほかの声はさっきまで、凍っていた俺の心をいとも簡単に溶かしてくれて

また涙がぽろぽろと流れる

だけど今度は悲しい涙じゃない

うれしくて、安心して、あたたかい…そんななみだ

大貴「ほらほら、そんなに泣くなって、」

そう言われて気づいたら大ちゃんの腕の中

大ちゃんの学ランには涙の跡が、たくさん滲んでいた