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Aside
「うん!それなら仕方ない!」
『…へ?』
思わぬ言葉に、素っ頓狂な声を上げてしまう。
ダンダリオン先生は私から腕を離すと、最初と同じようにニコリと笑って、
「ごめんね」なんて、謝罪を口にする
「病院があるなら言ってよ〜これで診察とか出来無かったら大変だ!」
『え、あぁ…』
さっきとの温度差に驚いてしまって、私は思わず口篭る。
ダンダリオン先生は案外スっとしていて、出口まで、半ば私を押し出す形で歩いた。
「あ、そうだ。学内で怪我とかしたら、しっかりと僕達に報告するんだよ?
小さい怪我とかなら、ブエル先生が治してくれるし。」
ダンダリオン先生は、「ねぇ〜?ブエル先生〜」なんてわざとらしく声を響かせて、
驚いて目を見開く彼を見て、満足気に笑みを浮かべる。
「よぉし。それじゃ、引き留めちゃって悪かったね!」
『…いえ。』
────やっと思考が追い付いて来た。
冴えていなかった頭に舌打ちをすると、ダンダリオン先生は何で?!と、声を上げる。
その時、私の体は宙に浮いた。
…デジャヴ?
「Aちゃん、帰る?なら、送るよ。」
今朝と同じ様に、やっぱりシチロウさんだった。
『いや、でも…送って貰うのは流石に…』
私がそうやって口籠もってると、シチロウさんは笑顔で言う。
「じゃあ、バビルスの門までならどう?」
『門?』
「うん、家までは、色々と…だから、門まで。」
そうやって、シチロウさんは私の耳元に近付いて、ヒソヒソと言う。
「Aちゃん、迷ってちゃうでしょ?」
『あ…』
自分の事を自分で忘れていた私に呆れていると、シチロウさんはダンダリオン先生に向き合う。
「ダリ先生。それじゃあ僕等、行きますね。」
ニコリと微笑むシチロウさんを見て、ダンダリオン先生は見上げて、返事まで少し間をあける。
「…えぇ、勿論!」
そう言うダンダリオン先生の笑顔は、さっきよりも一番怖くて。
一番、作り笑いのようだった。
−−−−−−−−−−
門まで送って貰い、私は歩いて家へ向かう。
少し足が疲れてきて、脹脛を擦りながら、ゆっくりと歩く。
『…ん?』
ポケットにある違和感に、ふと気が付いた。
腰ポケットに手を伸ばし、その中身を探る。
指に何かが当たった感覚があり、引っ張り出してみると、それは資料の様な物。
私を襲って来た二人の悪魔の資料だった。
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ベル - とても面白いです!カルエゴ先生の妹キャラ好きなので嬉しいです!!オチとかは無くカルエゴ先生と仲良くみたいな、、(語彙力無、、)そんな感じが自分はいいと思います。! (2023年1月6日 18時) (レス) @page27 id: 6b74fe665f (このIDを非表示/違反報告)
TENSI(プロフ) - →もやしさん。ご観覧、有難う御座います!更新が不定期で申し訳ないです…これからも私のペースで頑張っていきますので、よろしくお願い致します!もう冬ですし、寒いので体調にはお気を付けて下さいね。 (2022年12月25日 1時) (レス) id: 7e7c0fa434 (このIDを非表示/違反報告)
遊星(プロフ) - TENSIさん» 分かりました。これからも更新、頑張ってください。そして、こちらこそ宜しくお願いします。良ければ私が書いた作品読んでみてください。 (2022年12月15日 22時) (レス) id: 3155b38ccb (このIDを非表示/違反報告)
もやし - 続き待ってます!! (2022年12月15日 19時) (レス) @page24 id: 2aa5ee0a9a (このIDを非表示/違反報告)
TENSI(プロフ) - →遊星さん、ご観覧、ありがとうございます!アスモデウスですね!これからのストーリーの参考にさせていただきます。これからも、よろしくお願いします。 (2022年12月7日 14時) (レス) id: 7e7c0fa434 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:TENSI | 作成日時:2022年11月7日 23時