29話 ページ30
雨林にある横たわる幹を乗り越えながら、ティナリはその植生について教えてくれる
ティナリ「でも、実は花びらみたいに見えてるのは葉っぱと
真ん中にあるすごく小さなやつなんだよ。
あと、スメールの植物は名前だけじゃ判断できないものが多い」
エルマ「ヒルマ、大丈夫?ほら、手につかまって」
『よいしょっと……ふぅ、ありがとうございます』
軽々と乗り越えて行ってしまう男子諸君よりも少し遅れをとっている私は、鍛えているため同じように乗り越えていけるお姉ちゃんの助けを得ないと先に進むのは難しかった
その声にティナリさんも空くんも足を止めてくれた
そして私が合流すれば説明を続ける
ティナリ「例えば、「カルパラタ蓮」はつる植物だし、「スメールローズ」も
薔薇じゃないんだ……」
パイモン「うぅ……そ、そうなんだな
うっかりしてたぜ。ティナリと植物の話をするのは早計だったな」
専門的な話に追いつけなくなったパイモンは、そう小さく呟いた
すると見えてきた奥に広がる水辺に向かう
大きな枝葉が茂る間のところには澄みきった湖が広がっており、その上には金色の蓮のようなものが浮かんでいるのが見えた
ティナリ「サウマラタ蓮はこの近くに生えてるはず。手分けして探そう。
君たちは四つ採ってきてくれたらいいよ。
充分な薬草が採れたら、この近くで落ち合おう」
蛍「うん」
『分かりました』
エルマ「私たちは六つ採ろうか」
『はい』
そして近くに生えている水面にキラキラと輝くサウナラタ蓮を丁寧に手折る
お姉ちゃんも着々と集めているようで、ここで一つ、この前植物図鑑で見た豆知識を披露したくなった
『お姉ちゃんはサウマラタ蓮について、知っていますか?』
エルマ「え?スメールにあるってことしかわからないなぁ」
『雨林の湿地に生える、夜にしか咲かない花なんですよ。
この地の最も古い民話では、月の神の高車もかつては太陽に匹敵するほどの
光を放っていて、大地の万物はその恩恵を仰いでいました』
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作者名:ゆっきーぷ | 作成日時:2023年12月1日 18時