及川バースデー 6 ページ47
「ねえ、Aちゃん」
頭の上から、自分の名前を呼ぶ声がした。
しかし、Aは無視を決め込んで何も言わない。
あれから数日が過ぎ、いよいよ明日は及川の誕生日会というところまで来た。
意外にも、Aは花巻の提案をしっかり覚えていた。
おかげで、今日まで無事、及川と会話をせずに過ごせているわけなのだが、心の中は罪悪感でいっぱいだった。
それと同時に、いつも以上にAは疲弊していた。
岩泉で慣れているのか、及川は1度無視されたくらいでは諦めない。
しつこいくらいに同じ質問をし、構ってちゃんアピールをしてくる。
正直、無視をしなくてはならない決まりさえなければ、Aは「うるさい」と足蹴にしていただろう。
それすら出来ないのだから、ひたすら及川が何度も連呼する話を聞いているだけである。
何度返事をしなくてもめげない及川を見て、Aは本当に心臓に毛が生えていると思った。
ここまで無視をしていれば、落ち込むか怒るかするだろうと思っていたのだが、及川はそんな素振りを見せることもない。
幼馴染の中では、実は及川が1番甘えたさんなのだ。
そういえば、及川は末っ子だったな、とAは及川の甥っ子の顔を思い浮かべた。
Aは1度しか会ったことはないが、表裏がなく素直で言いたいことはなんでも言ってしまう感じの子だった気がする。
そのせいか、及川に対してもかなりズバズバ言っていた。
それでも、及川がめげることはないのだが。
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sala-ri✰︎ - 面白かったです!!!!更新頑張ってください!!!楽しみにしてます(*^^*) (2022年6月20日 17時) (レス) @page3 id: 94069447b5 (このIDを非表示/違反報告)
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