勉強を教える 9 ページ40
「なあなあ、若葉さん。これ分かる?」
影山が言葉に詰まっていると、今度は横から日向がAに話しかけた。
日向の持っている小テストは、どうやら数学のようだ。
「これ、因数分解じゃない?確か、教科書に公式が載っていなかったっけ……」
Aは、自分の教科書を鞄から取り出し、ペラペラと捲り始める。
時折、蛍光ペンで引いたのであろうカラフルな線が見えて、一応授業はちゃんと受けていることが分かる。
とはいえ、たまにAも部活の疲れからか、うつらうつらとしている時もあるのだが。
「あ!あった……これこれ」
開いたページを伸ばして、Aは教科書を日向に見せた。
「この公式に当てはめてやってみて」
「おお……これでいいのか!」
「そうそう」
解き始めた日向に、Aはパチパチと拍手する。
それを見ていた影山は、ギロッと日向を睨んだ。
いついかなる時でも、ライバルである2人。
それはもちろん、勉強だって含まれるのだ。
影山が、英単語帳を開いた。
熟読しようと、顔を突っ込むように見ているが、残念ながら初っ端から躓いているらしい。
眉間に皺を寄せて首を傾げていた。
「若葉」
「どうしたの?」
「英単語ってどうやって覚えるんだ?」
そう聞かれた瞬間、凍りついたのはAだった。
覚えなよ、なんて偉そうなことを言っておきながら、Aも英単語を覚えるのは苦手だったのである。
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sala-ri✰︎ - 面白かったです!!!!更新頑張ってください!!!楽しみにしてます(*^^*) (2022年6月20日 17時) (レス) @page3 id: 94069447b5 (このIDを非表示/違反報告)
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