勉強を教える 3 ページ34
沈黙が続く。
電話口からは、何も返ってこない。
しかし、なんとなくAが困っているのは、影山も気づいていた。
「若葉、そっち期末テストいつからだ?」
『もうちょっと先だったような……3週間後だ』
「あーじゃあ、そっちのテスト2週間前までとかダメか?」
これは影山なりの譲歩だった。
流石に2週間前になれば、授業中にもテスト期間だなんだと口酸っぱく言われるようになる。
それすらもほとんど右から左なのが、この2人なのだが、それは敢えて言わないことにしよう。
テスト期間が始まるまでの1週間なら、まだAも比較的動きやすいんじゃないかと影山は考えたのである。
『うーん……影山と日向くんは成績同じくらいなの?』
「いや、俺の方が上」
「は?何言ってんだよ影山。俺の方が上だろ!」
『……同じくらいってことでいい?』
普段から青城の個性的な部員といるからか、Aのスルースキルは相当高い。
そのため、今ここで影山と日向の喧嘩が珍しく起きなかったのである。
『それならまあ……多分、教えられないこともないとは思う……』
歯切れの悪いAの返事に、日向は素直に喜んで飛び上がった。
しかし、影山はその様子に首を傾げた。
「なんか問題でもあんのか?」
『ううん、平日は無理かなって思っただけ。多分、私の体力が持たない』
それにはおそらく、日向と影山以外の全員が賛同するだろう。
2人と長時間いると、直射日光を浴び続けたような疲れ方をするのだ。
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sala-ri✰︎ - 面白かったです!!!!更新頑張ってください!!!楽しみにしてます(*^^*) (2022年6月20日 17時) (レス) @page3 id: 94069447b5 (このIDを非表示/違反報告)
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