勉強を教える 2 ページ33
『影山』
「あ?」
『どうして私が勉強出来ると思ったの?』
電話口の彼女は呆れていた。
あれから、日向に言われて影山はすぐにAに電話をかけた。
青城へ練習試合をしに行った時に、和解したついでに連絡先を交換しておいたのだ。
数回呼出音が鳴った後に、目的の人物はすぐに出てきた。
影山が事情を説明した直後、冒頭へと戻るのである。
Aに言われて、影山はそう言えばと過去の記憶を掘り起こす。
Aは家族間に起こったいざこざのせいで、秋頃からほとんど学校に来れていなかった。
ずっと東京の病院に入院していたのである。
もちろん、そこでも勉強はしていたらしいが、退院してすぐに入試だったため、死ぬ気で勉強をしていたと聞く。
そんなブランクを抱えたまま、今も運動部のマネージャーというハードな部活に所属し、その傍ら勉強をしている状態だ。
加えて、人より体力のないAは家に帰ってから勉強をするだけの力が残っているとは思えない。
それに気づいだ瞬間、影山は頭を抱えたくなった。
完全に人選ミスだ。
日向に言われて、いけると思ってしまった自分を全力で殴りたくなった。
「なあなあ、勉強教えてくんねーの?」
眉間に皺を寄せている影山を見て、日向がグイッと携帯を持つ影山の腕を掴んだ。
そして、電話口にも聞こえるように言ったのだ。
『……もしかして、日向くんも一緒?』
「……おう」
案の定、Aにはすぐにバレた。
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sala-ri✰︎ - 面白かったです!!!!更新頑張ってください!!!楽しみにしてます(*^^*) (2022年6月20日 17時) (レス) @page3 id: 94069447b5 (このIDを非表示/違反報告)
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