トスを教えてもらう 5 ページ21
ポーンと山なりに上がったボールの下に、私は両手を上げて立っていた。
正確には、オーバーハンドパスの状態で、だけど。
ジャンプをすると、ボールがコツンと指の腹に当たる。
そのまま押し返すように、指に力を込めてトスをした。
その先にいるのは、スパイクモーションに入った影山。
私が上げたボールで、華麗なスパイクがネットの先に入っていった。
いや、影山スパイクも上手いな。
セッターがスパイクを打つ機会は、残念ながらあまりないけど。
ストン、と床に落ちたボールに、休憩していた部員全員がこちらを向く。
めちゃくちゃ注目されてる……正直、少し怖い。
誰かがパチパチと拍手し始めた。
それに倣うように、四方から拍手が鳴り響く。
気づけば、全員が拍手をしていた。
なぜ拍手を?と首を傾げていると、トンと肩を叩かれる。
後ろを振り向くと、それをしたのは影山だった。
「やったじゃねえか。……今の、良かった」
視線を逸らしてそう言う影山は、どうやら褒めているらしい。
やったって上司みたいな褒め方をするんだな。
でも、人にも自分にもストイックな影山が、ここまで言ってくれたということは、多分自信を持っていいやつだ。
「影山、トス教えてくれてありがとう!」
嬉しくなって、満面の笑みのままそう言うと、影山はフィッと目を逸らしてしまった。
でも、その耳は僅かに赤い。
影山も照れることってあるんだね。
なんだか、新たな一面が見られてそこにも嬉しくなってしまった。
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sala-ri✰︎ - 面白かったです!!!!更新頑張ってください!!!楽しみにしてます(*^^*) (2022年6月20日 17時) (レス) @page3 id: 94069447b5 (このIDを非表示/違反報告)
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