金田一バースデー 10 ページ16
部活が終わった帰り道。
今日は特別に、金田一と国見と一緒に帰っている。
それはもちろん、金田一にプレゼントを渡すため。
結論から言えば、私は思いっきり金田一にプレゼントを渡すのを忘れていた。
国見が教えてくれなければ、明日渡す羽目になるところだった。
流石に夜も遅いし、体育館前でグダグダ話しているわけにもいかず、私は徹とハジメに先に帰ってもらうように頼んだ。
ハジメには、ちょっとだけ渋い顔をされたけど……過保護か。
他愛もない会話をしながら、分かれ道のところまでやってきた。
私は左、国見と金田一は右に曲がる。
だから、プレゼントを渡すなら今しかない。
ちょんちょん、と私は金田一の肩を叩く。
金田一、めちゃくちゃ身長高いから、ちょっとだけ苦労したけど。
「ん?どうした?」
こちらを振り向いた金田一に、私は鞄の中から紙袋を渡した。
「誕生日おめでとう、金田一。これ、私と国見から」
パァーっと金田一の顔が明るくなる。
プレゼントを受け取ると、丁寧にシールを剥がして開けていった。
「これ……!」
手に取ったものを見て、金田一の口角が上がっていく。
私と国見があげたのは、フェルトに綿を詰めて作った焼きとうもろこしの人形。
裏には安全ピンをつけて、鞄につけられるようになっている。
ハジメが鞄につけている怪獣の人形を見て、これにしようと思ったのだ。
材料は国見が出してくれて、作ったのは私。
一応、分担はした、のかな?
手作り感丸出しだから、喜んでもらえるかドキドキしていたけど、どうやらそれは杞憂に終わったらしい。
「2人とも、ありがとな!」
金田一が嬉しそうに笑った。
普段にっこり笑うことはあまりないから、珍しい。
そこまで喜んでくれるとは思わなくて、私も国見もつられて笑ってしまった。
また人の誕生日を祝う楽しさを知ったような気がした。
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sala-ri✰︎ - 面白かったです!!!!更新頑張ってください!!!楽しみにしてます(*^^*) (2022年6月20日 17時) (レス) @page3 id: 94069447b5 (このIDを非表示/違反報告)
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