【HQ】鈍感少女 vs 元気少女

560. 強いのに…… ページ21

來埜崎さんから外れたボールは、Cチームの外野の方に行き、赤葦さんがキャッチ。

その瞬間、私はアッと思った。

赤葦さん、さっき木兎さんのこと狙うとかなんとか言ってたけど、大丈夫かな？

チラッと赤葦さんの方を見ると、案の定目がマジだった。

鋭く光る目は、しっかりと木兎さんを捕らえている。

赤葦さんが、勢いよくボールを投げる。

木兎さんは、その表情に少し脅えながらも回避した。

チッと舌打ちが聞こえたのは、私の気のせいだと思いたいな……。

そのボールを取ったのは、ハジメ。

また來埜崎さんを狙うのかと思いきや、今度は木兎さんを狙って投げる。

木兎さんは、またそれを回避。


木「何、俺、狙われてんの？おもしれえー！へいへいへーい！俺最強！」


狙われているのに、逆にテンション高くなる木兎さん。

いったいどんな育ち方したら、そんなポジティブ思考になれるんだろう？

でも、その言葉は半分煽りのように聞こえるわけで……。

Cチームの外野、主に約2名が木兎さんの言葉に目を光らせた。

あ、これはやられる……。

そう確信した次の瞬間、木兎さんの体が僅かに揺れた。

木兎さんの表情が固まる。

続いて、ボールが体育館にトントンと打ち付けられるようにして、床に落ちた。

ロボットのようにカチコチした動きで木兎さんが振り向くと、そこには投げる体勢でいた雀田さん。

なるほど、ハジメを警戒するあまり、背後を見てなかったんだ。

木兎さん……強いのになんというおマヌケ。

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