422. 前に進む糧 ページ22
貴方side
肝試しが終わった後、私は花巻さんにおぶられたまま、ハジメと3人で校舎に戻っていた。
徹と松川さんは、渡さんと金田一がまだ帰ってきていないため、探しに行くらしい。
2人とも、無事だといいんだけど。
花「にしても、岩泉サンキューな。俺、ちゃんと若葉助けられたぜ」
岩「そいつは良かった。吸入器渡しといて正解だったな」
花巻さんの背中に揺られながら、私は静かに2人の話を聞いていた。
今回は、ハジメの用意周到さと花巻さんの行動力に助けられた。
でも、今回も結局、私は助けてと言う前に助けられた。
青城の皆は、私のことをちゃんと分かってくれてる。
だけど、それに私がいつまでも甘えてたら、いつか誰にも助けてもらえずに、苦しい思いをする日が来る。
普段の練習では、青城の皆と一緒にいることが多いから、他の学校の人にいちいち言わなくてもいいとは思うけど、今日みたいなレクリエーションの場では、せめて同じチームの人には言わなくちゃ。
そうじゃないと、いざって時に大勢の人に迷惑をかけて、せっかくのレクリエーションを台無しにしてしまうから。
最終日のレクリエーションでは、絶対チームの皆に言おう、そうしよう。
岩「A、大丈夫か?」
貴「え?……あ、うん」
1人で考え事をしていたら、ハジメに心配された。
ハジメが安心してくれるようにならないとな。
岩「なあ、A。……合宿が終わったら、1回病院行くか?」
貴「え……?」
ハジメの口から出た病院という言葉は、私を不安にさせるのには十分だった。
貴「なんで?私、どこか悪いの?」
花「わわっ、落ちる落ちる!若葉、落ち着け」
ここが花巻さんの背中の上だということも忘れて、私は思わずバタバタしてしまった。
岩「いや、退院してから半年経つし、そろそろ行った方がいいんじゃねえかって思っただけだ」
そう言えば、もう退院してから半年が過ぎたのか。
あと1ヶ月もすれば、バレー部に入部してからも半年経つことになる。
あの時と比べたら、私は変われてるだろうか?
少しは前に進めてるだろうか?
何故だかは分からないけど、喘息が治れば、私の心の中も何か変化があるんじゃないかと思った。
良くなってるのか悪くなってるのかを知るのは怖い。
だけど、それを知ることが私が前に進む糧となるなら__
貴「……うん、そうだね。行くよ」
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すいま - さすが。おつよい。 (2020年11月26日 3時) (レス) id: cbeac085fa (このIDを非表示/違反報告)
なな - 私くれはさんの小説大好きだよ!!!だからこれからも頑張って!! (2020年10月18日 21時) (レス) id: 260f58deaf (このIDを非表示/違反報告)
游 - 最近忙しくて、コメントできてなくてすみません…。もう1年たったんですね!!早かった…。今も昔も、変わらず大好きです。応援してます! (2019年7月31日 20時) (レス) id: be253de246 (このIDを非表示/違反報告)
ぴーや(プロフ) - 1年おめでとうございます!!これから鈍感少女シリーズ楽しみにしてます!更新頑張ってください!! (2019年7月20日 20時) (レス) id: 2f26a9a0e1 (このIDを非表示/違反報告)
うどん - 面白すぎて一気読みしました!荒らしにめげないその精神がすごいと思います!これからも頑張ってください! (2019年6月30日 15時) (レス) id: d635d54193 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:くれは* | 作成日時:2019年6月14日 19時