【HQ】鈍感少女 vs 仮病少女

432. 典型的な台詞 ページ32

国見side



今日、若葉と岩泉さんの様子が変だった。

きっかけは多分、岩泉さんが突き指をした時。

片手じゃ自分で出来ないからと、岩泉さんは若葉を探しに行って数分。

なかなか帰ってこない2人に痺れを切らした及川さんが、「2人でキスしてたら大変だから見に行ってくる！」とか訳の分からないことを言い出して、2人を呼びに行った。

キスしてるわけないだろ、あの2人が……。

恋してても気づかなそうじゃん、お互いに。

そう思ったのは俺だけじゃなかったらしく、皆及川さんを無表情で見送っていた。

でも、帰ってきたのは及川さんと岩泉さんだけで、若葉はあとから遅れてきた。

その後からずっと、2人は1日一言も話してない。

いつもなら、試合の合間に話してるのに、今日は若葉はずっと俺や金田一と話してる。


国「若葉、岩泉さんとなんかあったの？」


会話の流れでサラッと聞いてみると、若葉は分かりやすく表情を崩した。


貴「……別に」


眉を寄せて言う若葉。

それ、絶対何かある時の典型的な台詞だろ。

でも、俺はそれ以上は追求しなかった。

人の揉め事には興味無い。

無理に首突っ込んで、余計に事が拗れたら俺のせいにもなりかねない。

そんなの真っ平ゴメンだね。

それに、若葉と岩泉さんなら大丈夫な気がする。

2人の仲は、俺たちよりも長い。

小さい頃から一緒にいた2人が、こんな短時間で絶交にまで発展してしまうことってあんまりないから。

2人とも性格がひねくれてるわけじゃないし。

まあ、早く戻るといいな、若葉。

433. 今できる最善のこと→←431. 及川は鋭い

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す