「愛」ってなんですか!?【轟焦凍】 (ページ12)

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106. オタクの知ってることページ12

貴「私、一人っ子だったの。だから、あんまり誰かと遊ぶってことがなかったんだ」

ひとまず、作り話で誤魔化すことにした。

子どもの頃なんて、A以外皆英才教育を受けていたのだ。

一緒に遊んでくれる人もいなければ、おもちゃもあまり買ってもらえなかった。

でも、そんなこと緑谷には言えない。

しかし……

緑「あれ？水無月さんの家って、ヒーロー一家じゃなかったっけ？」

Aは忘れていたのだ。

緑谷が、オールマイト以外のヒーローのこともオタク並に知っていることを。

貴「うん、そうだよ？」

緑「お父さんがカグツチだよね？兄弟結構いないっけ？」

その言葉に、Aはしまったと思った。

Aの家系は、それなりに有名なヒーローがいることもあって、個性婚の話も有名だ。

しかも、個性婚と言っても親が別々の個性ではなく、また突然変異がない限りは燃焼系の個性が生まれるというだけなので、世間では賛否両論あるもののそこまで否定的に見ている人は多くない。

ヒーローオタクの緑谷が、そのことを知らないわけがないのだ。

緑「実は、ちょっと気にしてはいたんだ。水無月さんの個性、水だからさ。轟君みたいに苦しい思いをしてないかなって」

そこまで知っている……。

Aはどうするべきか迷った。

ここまで知られた以上、本当のことを言うしかない。

でも、寮生活となった今、家族と切り離されてるため、Aはそこまで苦ではなかった。

ただ、もう一度家に戻りたいかというとそうではない。

ハイツアライアンスの生活に慣れ、今までがどれほど偏見にまみれた酷い生活だったかを、比べられずにはいられなかったからである。

でも、気にかけてくれてる以上、なんでもないで済ませることではない。

轟にもちゃんと言えたのだ。

緑谷にだって言えるはず……！