【HQ】鈍感少女番外編7 (ページ16)

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後輩ちゃん 22 ページ16

紫那幸さんにそう言われた世羅さんは、見る見るうちに顔を真っ赤にさせた。

「そこまで」

行く末を見守っていた矢巾さんが、2人の間に入った。

その時2人は、ようやく自分たちが周りが見えないまま会話をしていたことに気づいたみたい。

一応、全員ここにいたし、練習も始まらないまま2人の言い合いを見ていたからね。

「2人の言い分はよく分かった。紫那幸、言ってることは間違ってないが言い過ぎだ。お前らはまだ新人。人を説教する権利などない。どちらの言い分が正しかろうと、練習時間を遮ってまで自分の気持ちを優先したことは良くないことだ。それは分かるな？」

「はい」

紫那幸さんは、素直に頷いた。

根は悪い子じゃないんだろうなっていうのは、すごく分かる。

きっと、このまま入部してくれれば、仕事が助かるんだろうなっていうのも。

チラッと世羅さんの方を見れば、彼女は笑っていた。

得意げに、まるで自分が正しかったと言いたげに。

「それから、世羅。お前の仕事に対する言い分は分かった。ただ、まだ入りたての1年が、経験の浅いやつが意見を言ったところで何になる？若葉は、俺らのことを最優先に仕事の内容を考えてくれている。まずは、それを理解してから意見を言え」

「なっ……！私の意見が間違ってると言うのですか？」

「ああ、そうだ」

再び顔を真っ赤にさせた世羅さんに、矢巾さんは冷ややかに答えた。

その声色に、私まで少し驚いてしまった。

女子に優しい矢巾さんが、女子相手にそんな声を出すとは思わなかったから。