そうだ、兵庫に行こう 4 ページ6
「ありがとうございました」
玄関でハジメと一緒に頭を下げる。
国見の家の前には警察が来ていて、私たちは短い距離だけどパトカーで送ってもらえることになった。
警察曰く、春から夏にかけて不審者が増加するんだとか。
でも、それでなぜか国見とハジメは、あまり納得いっていないみたいだった。
さっき、2人で内緒話してたの、なんだったんだろう?
家に帰って自分の部屋に行くと、すぐにハジメが私の部屋に入ってきた。
「A、優木の連絡先持ってたよな?」
「うん、持ってるけど……どうかしたの?」
優木さんとは、卒業する時に連絡先を交換した。
いつか、優木さんの準備が整ったらもう一度会うために。
でも、ハジメの方から言ってくるなんて珍しい。
聞けば、優木さんがバレー部を退部した時に連絡先を消したらしい。
まあ、まさかこんなことになるとは、その時は私も思わなかったもん。
「ちょっと聞きたいことがあんだ」
「うん、分かった」
用ってなんだろう?
ちょっとだけ気になるけど、私はそれを聞かずにハジメに携帯を渡したその時だった。
RINE特有の着信音が、部屋に響き渡る。
画面を見れば、タイムリーなことに優木さんから来ていた。
チラッとハジメの顔を見ると、頷かれた。
多分、出てもいいってことだよね。
私は、通話に出るボタンをタップした。
「……もしもし?」
『もしもし!良かった、出た……』
電話口の優木さんは、どこか焦っていた。
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