Monochrome 2

友達ごっこ ページ21

YN「ここから…飛び降りた子がいるんだ。」






奴が原因で屋上から飛び降りてしまった子がいて
他にも学校を辞めたり入院した子もいるらしい。




窓際の1番奥の席。




そこに座る人をターゲットにして
遊び感覚で常識では考えられないようなことをする。




そして今その席に座っている私が
次のターゲットになると。






HW「さっきみたいに私を庇うようなことをしたら
イェナが狙われるんじゃない？」




YN「……もう後悔したくないから。」




HW「別に私は気にしないから関わらないで。」




YN「でもへウォンが…」




HW「そういう友達ごっこ……必要ない。」




YN「友達ごっこって……」




HW「いじめが無くならないのも
あいつの親が上級国民だからでしょ？」




YN「………。」




HW「イェナが何をしても状況は何も変わらない。
……それなら黙って見てて。」






私がこう言ったのは
将来的に奴を潰すことが出来る自信があったから。




ハッキング技術を使えば何だってできる。




人の命を奪ったやつを
ノコノコと生かす訳には行かない。




それなりの報復を受けるべきだと思った。




それなのに……イェナは黙っていなかった。




何かされる度にイェナは私を庇い続けた。




私に向けられた矛先は
いつの間にかイェナに向くようになった。




奴がどんどん過激なことをするようになったのは
どんなことをされてもイェナが
ずっと笑顔で立ち向かったということ。




『友達ごっこ』という言葉に刺激されたのか
イェナは『大切な友達』だと言って奴から私を庇う。




イェナが笑顔で挑発すればするほど
奴の手口は荒くなっていった。




そして私たちの運命を大きく変える事件が起きたのは
文化祭が近づいていたある日の放課後の事だった。




文化祭の準備のため
私は教室に残って作業をしていた。




ステンドグラスを作るためにカッターを使っていた。






『あれ？1人なの？』






1人って……教室の中には何人も残っているのに。






『ここにいるのは私とあなたの2人だけだよね！？』






大きな声でそう言うと
教室にいた生徒は静かにその場からいなくなった。




みんなして言うことを聞いて
権力に逆らうことを知らない。




世の中多数派の方が強いのに目の前に圧倒的な
権力があると知った時に人は立ち止まって考える。




立ち止まった瞬間……
もう前に進む勇気などなくなってしまうのに。

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